ABW(Activity based working)とは?意味やメリット・事例を解説

   
ABW(Activity based working)とは?意味やメリット・事例を解説

ABWとは、業務内容に応じて最適な時間や場所を選択できる自由度の高い働き方です。
近年、注目を集めているこの新しい働き方は、企業の生産性向上や働きやすい環境づくりに寄与するといわれています。
この記事では、ABWの基本的な仕組みから従来のフリーアドレスとの違いのほか、導入のメリット・デメリット、具体的な導入手順までを解説。
さらに、オフィスコムが手掛けたABW型オフィスの事例をご紹介します。
ABWの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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ABWは、業務内容に応じて働く場所を自由に選ぶ働き方

ABWは、業務内容に応じて働く場所を自由に選ぶ働き方

ABWとはActivity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の頭文字を取った用語で、業務内容に応じて働く時間や場所を自由に選ぶ働き方を指しています。
オランダ企業のヴェルデホーエン社が発祥とされるこの新しい働き方は、社員の生産性向上を目的としており、勤務場所を固定席や特定のオフィススペースに限定する、従来のワークスタイルから脱却したものです。

具体的には、社員が業務内容(アクティビティ)に応じて、自宅やカフェ・コワーキングスペースなどのほか、集中ブースやコミュニケーションスペースといったオフィス内のさまざまなエリアを選択します。
これによって、効率的な働き方を実現できるのです。

なお、ABWを活用する際には、下記の3要素が重要となります。

《 ABWを活用する際の3つの要素 》

  • Place:オフィス環境
  • Platform:デジタル環境
  • People:社員の行動

オフィスのレイアウトやITツール・システムを整備するだけでなく、社員の「いつ・どこで・どのように」仕事を行うという自律性と、企業との信頼関係が、ABW成功のポイントといえるでしょう。

フリーアドレスとの違い

ABWとフリーアドレスはよく混同されますが、明確な違いがあります。
フリーアドレスは、オフィス内の席を社員単位で固定せず、社員がオフィス内の席ならどこでも自由に選び、働くことを認める制度です。
一方、ABWはオフィス内にとどまらず、オフィス外も含めて働く場所を選ぶ自由度があります。
また、フリーアドレスが単に「場所の自由」に重きを置いているのに対し、ABWは「業務内容(アクティビティ)に応じた場所の自由」が特徴です。

集中して作業に取り組む必要があるときはオフィスの集中ブースや静かな自室を選択し、アイデアを出したりチームで協議したりする必要がある場合はオフィスの会議室やラウンジを利用するなど、業務内容に応じて最適な場所を選べるのはABWならでは。
ABWは働き方の多様性と生産性を追求するという意味で、フリーアドレスをさらに発展させた仕組みともいえます。

関連記事
フリーアドレスについては、関連記事 「フリーアドレスとは?メリットやデメリットを解説」 にて解説しております。あわせてご覧ください。

ABWを導入するメリット

ABWの導入は、企業と社員の両方に多くのメリットをもたらします。
ここでは、ABWを導入することで得られる、具体的なメリットについて解説します。

① 社員の生産性向上につながる

ABWの導入によって、社員は業務内容に応じた最適な環境で働けるため、生産性向上につながります。
集中力が必要な作業に適した集中ブースを選んだり、ほかの社員とのコミュニケーションとのアイデア出しでリフレッシュスペースを活用したりといった自由な場所の選択は、社員の業務効率を高めるために役立つはずです。

事実、前述のヴェルデホーエン社が2020年に行った「Activity Based Working: Research on Measurable Outcomes and Key Differentiators」という調査では、ABW導入で個人の生産性が13%向上し、チームの生産性も8%向上したことが証明されています。

② 企業の経費削減に貢献する

ABWを導入することで、企業の経費削減につながる可能性があります。
これは、社員がリモートワークやコワーキングスペースを併用することで、社員全員が一度にオフィスを利用する必要がなくなることが理由です
社員の人数分の固定席を廃止し、席数を最適化することで、オフィス維持にかかる賃料や光熱費を抑えることができ、効率的なオフィス運用が可能となります
ただし、ABW導入前には、社員の働き方に合わせて適切なオフィススペースを計画・確保する必要があるでしょう。

③ 人材採用につながる

ABWを導入する企業は、柔軟な働き方を社員に提供できるといった点で訴求力が高く、優秀な人材の採用につながりやすくなるでしょう。
これは、場所や時間に縛られない働き方を求める若い世代や、仕事と家庭の両立を目指す人材にとって、ABWを導入する企業は働きやすく、魅力的に映るからです。
同時に、誰にとっても働きやすいABWは、通勤や育児などを理由とした離職率の低下にも寄与します。

④ 社員のワークライフバランスが実現しやすくなる

ABWは、働く場所や時間を柔軟に選択できるため、社員が自身のライフスタイルと調整しながら働けるようになり、ワークライフバランスが実現しやすくなります。
例えば、育児や介護をしながら働く社員が、自宅での作業とオフィスでの勤務を適切に使い分けることで、仕事とプライベートの両立が実現しやすくなるのは、大きなメリットといえるでしょう。

⑤ 社員のモチベーションが高まる

ABWの導入により、社員は自分の業務に合った最適な環境を選べるようになるため、業務へのモチベーションが向上し、結果として職場全体に活気が生まれるのもメリットです。
場所や時間が自由になる働き方を実現できることで、社員が企業への愛着を持ったり、帰属意識が高くなったりするようになる点もメリットといえるでしょう。

ABWを導入するデメリット

ABWの導入は、企業や社員に多くのメリットがある一方で、導入にあたってのデメリットもいくつか存在します。
ここでは、ABW導入のデメリットについて解説します。

① 労務管理が難しくなる場合がある

ABWの導入により、社員がオフィス外やさまざまな場所で働く機会が増えると、労務管理の複雑化を招く場合があります。
具体的には、リモートワークを利用する社員に対する勤怠管理や、作業進捗の正確な把握です。
また、オフィス外で勤務する社員の動きを確認しにくくなるため、正当な人事評価が難しくなるといった問題が発生する可能性もあります。

② 環境と制度の整備にコストと時間がかかる

ABWを導入する際には、オフィスのレイアウト変更や、セキュリティ対策のためのITツール導入といった環境整備が求められます。
これらに初期投資と時間が必要となるのは、企業にとってデメリットのひとつといえるでしょう。
また、社員がABWに適応するための推進体制の整備も欠かせません。
これらの準備には、長期間にわたる計画とリソースの投入が求められる点にも注意が必要です。

③ 社員同士のコミュニケーションが減る可能性もある

ABWでは、社員がそれぞれの業務内容に応じた場所で働くため、決まった時間に固定席で働くことに比べて、社員同士がコミュニケーションを図る機会が減少することがあります。
リモートワークする社員の割合が高くなったり、社員が社内のさまざまな場所を選んで働くようになったりすると、日常的な雑談や直接の対話が減り、チームの一体感や情報共有を損なう可能性があるのはデメリットといえるでしょう。

ABWの導入手順

ABWの導入手順

ABWの導入を成功させるためには、計画的かつ段階的に進めることが重要です。
ここでは、ABW導入の具体的な手順を解説します。

1. 目的を明確に設定する

ABW導入の第一歩は、導入の目的を明確に設定することです。
「社員の生産性向上を図りたい」「オフィスの運営に関するコストを削減したい」など、具体的な目的を定めることで、ABW導入プロジェクトの方向性を統一できます。
目的が曖昧なままでは、社員が混乱して業務遂行に支障をきたしたり、手段が目的化し、期待する成果が得られなかったりする可能性があるので注意してください。

2. 現状の調査と課題を把握する

続いて、現状の社員の業務環境や働き方を調査し、課題を洗い出します。
社員がどのような業務を行っているのか、どの場所でどれぐらいの時間を費やしているのかを把握することで、必要なオフィス環境や改善点が明確になります。
場合によっては、ABW以外の解決策が導き出される可能性もあるため、ABW導入ありきでは考えないようにしましょう。

3. レイアウトを検討する

ABWの核となるのが、オフィスレイアウトの設計です。
導入目的や社員の業務内容に応じたスペース(集中ブースやリフレッシュスペースなど)を設け、社員が最も効率的に働ける環境を模索します。
レイアウトの検討段階では、社員のニーズを集め、適切に反映させることが重要です。
ただし、動線やセキュリティ面の配慮など、レイアウトには専門的な知識を要することが多いので、豊富なノウハウを持つ専門業者に相談するのがおすすめです。

4. 環境の構築・整備に取り組む

ABWのレイアウトにもとづいて、必要なオフィス内の設備やインフラ環境を整備します。
具体的には、オフィス内のソファや集中ブースの設置であったり、オフィス外でのリモートワークを支えるためのITツールやネットワーク環境を整えたりする作業が必要です。
また、セキュリティ対策や勤怠管理システムの導入もこの段階で進めます。

5. 社員の行動に関する制度設計を行う

オフィスとインフラの環境が整ったら、ABWを支えるための社員の行動に関する制度設計を行いましょう。
どのような業務でどのスペースを利用するのか、リモートワーク時のセキュリティに関するルールはどうするのかといったように、社員がスムーズにABWに移行するためのガイドラインの策定が必要となります。
このような制度は定期的に運用状況を確認し、必要に応じて見直したり調整したりすることも求められるでしょう。

ABW型オフィスの事例

オフィスをABWに対応させるにあたって、事例を見ておきたいと考える方もいるでしょう。
最後に、オフィスコムが手掛けたABW型オフィスの事例をご紹介します。

ヒノキを素材として多用したABW型コワーキングスペース

このABW型コワーキングスペースは、ヒノキを素材として多用しています。
ワークスペースの中心にヒノキで作られたシンボリックなオブジェは、「ヒノキを囲んで人々の交流の輪が広がっていく」イメージを表現したもの。
個室ブースのテーブルもヒノキ製です。
複数人で利用可能なソファブースやカウンター席も備えた、過ごしやすい空間となっています。

ソーシャルディスタンスにも配慮したABW型オフィススペース

都会的で洗練された雰囲気のABW型オフィススペースは、パーソナルブースやカウンター席のほか、食事や個別作業を行える空間を多く設置しています。
1ヵ所に社員が集まって「密」にならないよう、感染症対策にも配慮したレイアウトです。

作業内容によって使い分けしやすいABW型オフィス

さまざまな形の集中ブースを設けたABW型のオフィススペースです。
周囲の音や視線を遮断して業務に取り組めるフルクローズタイプの集中ブースだけでなく、複数名での打ち合わせにも利用できるソファタイプの集中ブースも設けられています。

まとめ|ABWでオフィスの生産性向上につなげよう

働く場所や時間を業務内容に応じて自由に選択できるABWの導入は、多様な働き方を推進し、社員の生産性向上や経費削減に役立ちます。
一方で、座席数やレイアウトの検討には、専門的な知見が必要です。
自社のみでは対応が難しいため、専門業者への相談をおすすめします。

オフィスデザイン・オフィス移転の専門業者オフィスコムでは、お客さまの事業内容や理想のオフィスをヒアリングし、最適な形のABWの導入をご提案しています。
ABWについて疑問がある場合は、お気軽にご相談ください。

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