顧問税理士とは?業務内容や依頼するメリットについてご紹介

   
顧問税理士とは?業務内容や依頼するメリットについてご紹介

「会社の規模が小さい」「記帳業務は安い代行業者に依頼すれば良い」という理由で、税理士と顧問契約を結ぶ必要性を感じていない経営者の方も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、顧問税理士が貴社にとってどんな存在となり得るのか、どんなメリットをもたらしてくれる存在であるのかについて解説したいと思います。

会計の専門家でない人にとっては、税理士と会計士の違いも曖昧かもしれません。
税理士を探そうにも、税理士事務所・税理士法人・会計事務所と、掲げている看板にも違いがあります。
一体、誰に仕事を依頼すれば良いのか、今一分かっていないのが実情ではないでしょうか。
本コラムでは、これらの違いについても解説したいと思います。

顧問税理士とは?

顧問税理士とは?

顧問税理士とは、一定期間において顧問契約を結んだ税理士のことです。
税理士は、税法の専門家の立場から税務と会計のサポートをします。
「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つの業務は、税理士にしか許可されていない独占業務として法律で定められています。

① 記帳代行・サポート業務 ② 決算業務 ③ 税務申告業務・税務相談 ④ コンサルディング (※)

お金の出入りを帳簿に記帳し、年に一度決算書を作成します。
その決算書を基に税務申告書を作成し、税務署に提出するのが業務の大きな流れです。

しかし、税理士は経理や税務業務の代行業者ではありません
会計・経理業務を自社で行えるようサポートをしたり、決算カウンセリングをすることで現在の事業・財務状況を明らかにし、どのようにすれば持続的に成長できる財務基盤の構築を実現できるかといった経営の根幹に関わる助言を行うのも顧問税理士の重要な仕事です。
顧問税理士とは、顧客企業の成長に合わせてビジネスをサポートする言わば「経営のパートナー」といった存在です。

※)
記帳代行・サポート業務
経理業務の重要なことは、毎日の記帳の積み重ねですが、特に創業間もない経営者にとっては非常に苦労する作業です。
また、経営者・経理担当者含めて日常的な取引について、適正な会計処理や仕訳の仕方など正規の簿記(複式簿記)の原則に従って、正しく会計帳簿の作成をすることが困難と言えます。
このような場合に、これらの記帳業務を税理士事務所にアウトソースすることを「記帳代行」、定期訪問などして指導・補助をすることを「サポート業務」といいます。
税理士事務所へ記帳代行・サポートを依頼することで、記帳~総勘定元帳や試算表が正しく作成することができるようになります。
決算業務
決算は、その時期における財産の状態や会計期間における損益を明確にすることを指します。
決算(決算書作成業務)は大きな会社では会計部門を持ち処理を行い、税理士は補助的な役割として動くことが多いですが、一方で規模の小さい会社や個人事業主では税理士事務所へ依頼する会社がほとんどです。
株主などの利害関係者に開示する資料にもなりますので、税制は素人では難しい部分も多く、税理士事務所に依頼したほうが間違いないでしょう。
税務申告業務・税務相談
決算報告書と同時に重要なのが税務申告です。
確定した決算に基づき、法人税・法人事業税・法人住民税・個人事業所得税・消費税などの税額を確定し、税務申告書の作成及び税務官公署への提出をします。
これらの業務も、税理士事務所で代行することができます。
また、各租税に関する申請書・届出書等の作成や、税務調査が入った際の立会に関しても、税理士事務所で代行することができます。
コンサルティング
税理士事務所では、単に税金(納税額)を計算するだけでなく、適切な納税のために様々な情報提供を行ってくれる事務所もあります。
例えば、所得税や法人税など、適用できるはずの控除を適用し忘れれば、多く税金を納めてしまうことになります。
一方で、決められたルールに基づいて正しく計算せずに、少ない金額で納税したり、納税自体を忘れてしまったりした場合には、あとから追徴などの罰則が科せられてしまいます。
税理士事務所ではこれらの税額控除の情報提供にはじまり、資金調達支援、事業計画策定の支援、利益率を上げていくためのアドバイス、相続・事業承継の支援など、事務所ごとの専門性を活かしながら様々なコンサルティングメニューを提供しています。

税理士と会計士 何が違うの?仕事内容の違いとそれぞれの独占業務

税理士と混同されやすい職業に公認会計士があります。
本章では、税理士と公認会計士の違い、そして法律で定められたそれぞれの独占業務について解説します。

税理士と公認会計士の最大の違いは、社会的役割の違いにあります
税理士は、税の専門家として納税者が適切に納税の義務果たせるようサポートし、公正な税務行政が行われるよう国に対して働きかける役割を担っています。

税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。 《 税理士法 第1条 : 税理士の使命 》

一方、公認会計士の役割は、第三者の立場から企業が作成した財務諸表を審査し、その情報の信頼性を保証することで、健全な経済社会の維持と発展に寄与することです。

公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。 《 公認会計士法 第1条 : 公認会計士の使命 》

言い換えると、税理士は「税務」、公認会計士は「監査」のスペシャリストだと言えます。
混同されやすい職業ですが、社会的役割が全く違うことがお分かりいただけたと思います。

次に、税理士と公認会計士の仕事内容の違いについて解説します。
下の表は、両者の違いについてまとめた表です。

税理士 公認会計士
専門分野 税務 監査 ・ 会計 ・ 経営
業務対象 個人事業主 ・ 中小企業 大企業
独占業務 税務代理 ・ 税務書類の作成 ・ 税務相談 監査
その他の業務 ◦会計業務(記帳代行・決算書などの作成)
◦コンサルティング業務(経営・会計)
◦アドバイザリー業務(M&A・事業継承・起業支援・資金調達支援など)
◦税務業務(※ 税理士登録が必要)
◦コンサルティング業務(経営・会計)
◦アドバイザリー業務(M&A・IPO・事業再生など)

税理士の中心業務は「税務」です。
いくら税金を納付しなければならないのか、税金の計算をすることが税理士の主な仕事です。
したがって、個人・法人かかわらず、納税の義務を負う立場にある人や団体がメインクライアント(業務対象)となります。

税理士の資格を有する者でなければ携わることを禁じられている業務(以下、独占業務)があります。
「税務書類作成・税務代理・税務相談」の3つの業務が税理士の独占業務です。

この3つの業務内容は次の通りです。
納税者の代わりに税務書類を作成します(税務書類作成)。
作成した税務書類を納税者の代わりに税務署等に申告し、税務署等から調査や処分を受けた場合には、納税者に代わって異議申し立てや審査請求を行います(税務代理)。
また、納税額の計算方法、納税に必要な手続き方法、節税効果の算出など税金に関するアドバイスを行うこともします(税務相談)。

現在、インターネットで税金の申告を行うことができますが、税務に詳しい知人が納税者の代わりに申告することは税理士法で禁止されています。
税金の申告は税理士だけに許された独占業務です。

税理士の仕事はこれだけではありません。
税務業務に付随して、記帳代行や決算書の作成などの会計業務、決算書に基づいた会計・経営コンサルティング業務、また、銀行などから融資を受けるためのサポート業務なども請け負っています。
最近では、会計ソフトの浸透によって記帳代行業務のような定形業務が減少傾向にあるといった現状から、コンサルティング・アドバイザリー業務に力を入れる税理士が増えています。

一方、公認会計士の独占業務は「監査」です。
監査とは、企業の成績表である財務諸表が適正に作成されているかを第三者の立場からチェックする業務です。
主なメインクライアント(業務対象)は上場企業(※1)となります。

上場企業は、株主・債権者・投資家・取引先などステークホルダーと呼ばれる利害関係者の全てに対して「うちは正しい経営をしています」ということを説明する責任があります。
第三者の立場から財務書類が適正に作成さているかを検証し、保証してもらえなければ、銀行や投資家は安心して投資活動を行うことができませんし、企業も安心して取引をすることができないからです。

公認会計士は、監査だけでなく会計・経営のスペシャリストでもあります。
監査法人に所属する公認会計士は、会計学や経営学(※2)などの専門知識を持っているだけでなく、実際に多くの企業の決算書を読んでいるため、経営に関する知見やノウハウを蓄積しています
そのような専門知識や経験を用いて、M&A支援・IPO支援・事業再生など、クライアントの抱える課題に対する解決策を提案・実行するコンサルティング業務も行います。

また、公認会計士は、税理士登録をすることで税務業務を行うこともできますので、実際に税理士の資格を取得(※3)されている方もいらっしゃいます。
ただし、税法によっては税理士試験に合格した税理士の方が詳しい場合があります。
税理士は税法を中心に勉強しており、公認会計士とは学習範囲が異なるためです。
節税対策のような税務相談を希望している場合には、税理士の方が知識や経験が豊富であると言えます(※4)

※1)会社法328条において、資本金5億円以上、または負債額200億円以上の大会社に対して、会計監査人を置くことが義務付けられています。また、学校法人、独立行政法人、社会福祉法人、医療法人などの事業体や団体等も対象になります。
※2)公認会計士試験の試験科目は、必須科目の会計学・監査論・企業法・租税法の他、選択科目として、経営学・経済学・民法・統計学から1科目を選択し受験します。
※3)税理士資格の取得方法は3つの方法があります。
①税理士試験に合格し、2年以上の実務経験を積む ②税務署で23年以上勤務し、指定条件を満たす(OB税理士)③公認会計士または弁護士の資格を取得する
※4)会計士であっても税法に詳しい方もいらっしゃます。経歴なども参考にされると良いでしょう。

税理士事務所・税理士法人・会計事務所の違いとは?

税理士事務所・税理士法人・会計事務所の違いとは?

「税理士事務所」「税理士法人」「会計事務所」にはどのような違いがあるでしょうか?
実は、これらは全て同じです。
「税理士事務所」と「会計事務所」に至っては全く同じです。呼び方が違うだけです。

税理士法第40条2項において、「税理士が設けなければならない事務所は、税理士事務所と称する」 と定められています。
したがって、「税理士事務所」が正式名称となります。
「会計事務所」と称する理由は、例えば、創業者が会計士であることや会計・経営コンサルティング業務に特化した事務所であることを示すため、などさまざまあります。
その事務所がどのような業務を強みとしているかについては、ホームページを確認してみると良いでしょう。

最後に「税理士法人」ですが、「税理士事務所」との違いは、組織形態の違いにあります。
税理士事務所は「個人事業主」であるのに対して、税理士法人は、2人以上の税理士が在籍する「法人」です。

利用者の立場から「税理士事務所」と「税理士法人」のどちらにメリットがあるのでしょうか。
どちらを選ぶかについては、次の3点を参考にすると良いでしょう。

  • 業務内容が自社のニーズに合っているか
  • (事務所の)規模が大きいか・小さいか
  • 代表が亡くなった場合の継続性

まず、その事務所及び法人がどのような分野に特化しているのかを確認します。
特定の業種・業界に強みを持っているのか、経営コンサルティング業務に定評があるのか、M&Aや事業継承を得意としているのかなど、自社のニーズとその事務所及び法人の得意とする業務内容が適合しているのか確認することが重要です。

次に、規模の大きさですが、「税理士法人」の規模は大小様々です。
2人で営んでいるような小規模の事務所から100人以上が所属するような大規模な事務所まであります。
規模が大きい税理士事務所のメリットは、複数人の税理士が所属しているため、利用者のニーズに合わせた税理士を適宜ピックアップできる点です。

税理士によって得意・不得意分野があります
歩んできたキャリアによって、法人に強い税理士と、個人に強い税理士に分かれますし、特殊な例ですと、法人税の中でも特に国際税務に強いといった専門性の高い税理士もいます。

一方、小規模な事務所であれば、親しみやすい税理士を見つけることができ、長期にわたって身近な良き経営のアドバイザーとなるでしょう。
信頼関係を築けるか否かは、経営のパートナー選びとしては非常に重要な要素となります。

最後に、代表が亡くなった場合の継続性の問題ですが、「税理士事務所」の場合、もし代表が亡くなってしまったら事務所は消滅してしまいます。
誰かが事業を継承する場合でも、再契約をしなければなりません。
それに対し、「税理士法人」であれば、代表が亡くなってしまった場合でも、会社は継続します。

以上のように、企業によっては、「税理士事務所」と「税理士法人」の組織形態の違いが、メリットとなったり、デメリットとなったりする可能性があります。
顧問税理士を選ぶ際にはその点も考慮すると良いでしょう。

契約に必要な費用(報酬)はどれくらい?税理士顧問料の相場

契約に必要な費用(報酬)はどれくらい?税理士顧問料の相場

2002年(平成14年)の税理士法改正により税理士会が定めていた報酬規定が廃止され、税理士又は税理士法人が独自に報酬を算定できるようになりました。
したがって、税理士報酬(費用)は、税理士事務所によってまちまちで、その相場が分かりにくいのが現状です。
そこで本章では、だいたいどれくらいの費用が必要なのか、相場について解説します。
また、契約の際には、どの業務を委託するのか、どこからどこまでの範囲が契約に含まれるのかなど明確にしておきたいことがあります。
契約時に確認すべき項目についても解説します。

業務内容を基準にした税理士報酬の相場

まず、業務内容別の税理士報酬の相場を見てみます。

業務内容 個人事業主 法人
記帳代行 5,000円~1.5万円 7,000円〜3万円
決算申告代行 7.5万円〜15万円 10万円〜24万円
顧問料 1.3万円~3万円 1.5万円〜5万円

※ 顧問相場・記帳代行は月額、申告代行は年額

上表で分かるように、それぞれの業務内容の金額には幅がありますし、個人事業主と法人とでも金額に差があります。
税理士報酬はどのように決められているのでしょうか。
基本的には、記帳代行・決算申告・顧問料で算出され、報酬金額は、年間売上高・訪問回数・業務内容(量)・専門性によって上下します

訪問回数は年1回なのか、半年に1回なのか、毎月なのかで報酬金額は変わります。
年間売上高と訪問回数によって報酬金額を固定している税理士事務所がほとんどです。

上記の表で一番分かりにくい項目が「顧問料」でしょう。
どこからどこまでの業務が「顧問料」に含まれるのか、税理士事務所によって異なります
例えば、税務調査の立会や社労士業務などは別料金になりますが、資金繰りや融資の相談業務を顧問料の範囲内とするか否かは、税理士事務所によって違います。

また、業務量によっても報酬金額は当然変わります。
従業員の数や事業規模によって処理量が違うためです。

最後に専門性ですが、いわゆるコンサルティング業務に関しては、付加価値の高い業務であるため別途料金が発生します。
経験・スキル・実績がある税理士、特定の業界に精通した税理士の顧問料は高くなる傾向にあります。

あとで争いにならないために契約時に確認すべきこと

税理士と顧問契約を結ぶ際には、契約書を交わしておくことが重要です。
契約において特に確認しておきたい項目は以下の3点です。

  • 業務内容を確認する
  • 委託業務の範囲を確認する
  • 契約期間 ・ 解約条項を確認する

業務内容については、まず自分が税理士に依頼したい業務が何であるのか、どこからどこまでの業務を依頼したいのかを明確にしておくことが大切です。
記帳業務・決算申告業務・税務の相談・融資の相談・決算カウンセリング・経営計画の策定など、税理士に依頼できる業務は様々です。
また、記帳業務を一つとっても、取引記録を会計ソフトに入力する作業から任せたいのか、記帳内容のチェックだけを依頼したいのかによって業務の範囲は異なります。

契約書を交わす際には、委託業務の範囲を確認しましょう。
顧問料・記帳代行・決算申告といった項目の他に、別料金になる業務を明確にします。
税務調査の立会は通常別途料金になりますが、含まれているものと勘違いしてしまうことがよくあります
その他、訪問回数もしっかりと確認しておいた方が良いでしょう。

契約期間と解約条項を確認しておくことも重要です。
特に、解約をしたい場合いつまでに申し出る必要があるのかを確認します。
契約書に下記のような条項の記載があります。

《 第 ○ 条 》
令和 ○ 年 ○ 月 ○ 日から令和 △ 年 △ 月 △ 日までの □ 年間とする。
ただし、双方より意思表示のない限り、自動継続することを妨げない。

契約書には、後に当事者同士で争いにならないよう、契約期間の始期と終期が記載されています。
また、管理の負担を軽減するために、再契約の手続きを省略し「自動継続」と記載されていることもあります。
税理士を変更したい場合や、委託する業務内容を変更したい場合に、契約更新期間のタイミングを逃すと料金が発生してしまうため、必ず確認しておきましょう。

税理士と顧問契約を結ぶメリットはあるのか?

税理士と顧問契約を結ぶメリットはあるのか?

税理士に仕事を依頼する方法は、「スポット契約」か「顧問契約」の2つがあります。
スポット契約の最大のメリットは、毎月の費用を抑えられることです。
会社設立の直後など、金銭的に余裕のない状況においては、確定申告や決算申告などの特定の業務を単発で依頼することによりコストの削減になります。

顧問契約は、年間を通して会計や税務のサポートをしてもらう契約になります。
税理士と顧問契約を結ぶに当たって、どのようなメリットがあるでしょうか。
ここでは、具体的なメリットを挙げてみたいと思います。

  • データに基づいた経営判断ができる体制を構築できる
  • 経営状態を定期的にチェックすることで健全な経営が維持できる
  • 税務をプロに任せることで本業に専念できる
  • 決算業務にミスのないお墨付きをもらえる
  • 資金調達が有利になる

データに基づいた経営判断ができる体制を構築できる

経営者が経営に関わる意思決定をする際に、重要な判断材料となるのが帳簿及び決算書です。
これらの会計データを、経営に活かせるデータとしてアレンジできれば、経営者にとってさらに有益な意思決定の材料となるでしょう。
それを実現するのが「管理会計(Management Accounting)」です。

管理会計とは、経営者が経営管理に役立てることを目的とした会計のことです。
経営の目的は、会社を継続的に成長させること。
そして、経営管理の目的は、会計データを経営の意思決定に役立てることです。
管理会計の導入によって、データに基づいた短期・中期・長期経営計画の策定、財務状況のモニタリング、将来の業績予測、目標(予算)に対する実績の分析・評価と改善策の立案ができるようになるため、経営者にとって大きなメリットとなります。

管理会計を行うには、自計化を実現し、自社の決算書を読み解き、経営状況を考察できる知識やスキルを身につける必要があります
自計化とは、記帳業務や仕訳入力などの経理業務を自社で行うことを言います。
顧問税理士の指導のもと、自社の経理業務のスキルアップを図り、決算カウンセリングを通して、会計の知識や決算書の分析方法を習得することで、管理会計の導入を実現させることができます。

経営状態を定期的にチェックすることで健全な経営が維持できる

私たちは、年に一度程度、健康状態を調べるために、健康診断や人間ドックを受けます。
健康診断を受けることで、血圧は安定しているだろうか?コレステロール値は高くないだろうか?臓器に異常はないだろうか?と、自分の健康状態をチェックすることができます。
身体に異常が見つかれば、健康診断の結果を基に医師からカウンセリングを受けたり、治療をすることで身体を健康な状態に戻すことができます。

企業も同じです。
健全な経営を維持するためには、現時点での経営状況を調べ、課題や問題点を発見し、改善すべき箇所があれば対策を講じる必要があります
問題や課題の発見は早いに越したことはありません。
問題に気づかず資金繰りに行き詰まったりしては大変です。

企業の健康診断のことを「決算カウンセリング」と言います。
決算カウンセリングでは、医師である税理士が決算書を見て、会社の収益性・資金性・安全性・安定性・生産性を客観的に評価し、次期の利益計画と行動計画を経営者と一緒に立てていきます
顧問税理士は、経営に関することを相談できる身近で頼りになる「かかりつけ医」のような存在です。

税務をプロに任せることで本業に専念できる

会社の設立後、税理士と顧問契約を検討したいタイミングがあります。
税務は専門家に任せ、経営者は本業に専念した方がメリットがあると判断した時が、顧問契約を検討すべき時期です。
そのタイミングは主に3つあります。

  • 会社設立から数年が経過した時
  • 法人成りをした時
  • 売上が1,000万円を超えた時

会社の設立後、3年が経つとそろそろ税務調査の対象となる時期になります。
しかし、いつ、どの会社が調査対象になるかは決まっているわけではありません。
1年目でも調査対象になる可能性はありますので油断はできません。
契約している顧問税理士がいれば、税務署への対応を任せることができます
たとえ、調査員から追徴金を課せられたとしても、顧問税理士がいれば安心です。
会社に代わって調査員と交渉をしたり、必要があれば、異議申し立てや審査請求といった対応をしてくれます。

2つ目は、個人事業主として事業をスタートした後、事業を拡大したいタイミングです。
法人成り(法人化)をすると、社会的信用度が高くなるため、資金調達や節税ができたりといったメリットがあります。
しかし、個人事業主から法人になると決算書の作成や税務申告、社会保険に関する事務処理など難しい処理が増えます
したがって、顧問税理士に税務業務を任せることで、経営者は本業に集中できるといったメリットがあります。

3つ目は、事業が成長し年間の売上が1,000万円を超え、消費税の課税事業者となるタイミングです。
法人だけでなく、個人事業主であっても年商が1,000万円を超えると、消費税を納める必要があります
経理や税務申告が複雑になるため、経営者自身で申告を行うのは困難です。
税務のプロである顧問税理士に依頼するのが得策です。

決算業務にミスのないお墨付きをもらえる

確定申告の内容に誤りがないかを、税務署が調査する税務調査ですが、「怖い」「お金を取られる」「税務署の職員が突然会社に踏み込んでくる」といったイメージを持っている方も多いのではないのでしょうか。
「正しく」申告をしている会社にとって、恐れることはありません。

しかし、「正しく」ということに関しては不安があります。
税務調査の対象になった企業の中で申告内容の見直しを求められるケースが多発しているという実情があります。
2019年度の国税庁の調査によると、税務調査の対象となった7万6千件のうち、半数以上の4万4千件が申告内容の見直しの対象となっています(国税庁「令和元年事務年度 法人税等の調査事績の概要」)。

「正しく」申告するためにはどうすれば良いのでしょうか。
「書面添付制度」という制度を利用する方法があります。
法人が確定申告をする際に、税理士が申告内容に間違がないことを証明する制度で、税理士法第33条の2に定められています。
この制度を利用することで、申告書の信頼性を高めることができます
意見聴取で疑問点が解消され、税務署が税務調査を行う必要性がないと判断した場合、調査は省略されます。
仮に調査に入られたとしても、顧問税理士がいれば安心です。
税務署とのやり取りを顧問税理士を通して行うことができますし、税務調査の当日にも顧問税理士が立ち会うことで調査官への対応をしてもらえます。

資金調達が有利になる

起業をしたり、事業を拡大したりするためには、まとまった資金が必要になります。
しかしほとんどの場合、自己資金だけでやっていくのは難しいでしょう。
そこで、資金を外部から調達する必要が出てきます。
資金調達の手段は主に次の4つがあります。

  • 個人の資産から拠出する他、経営者の親族や知人からの借入をする(自己資金)
  • 投資家やベンチャーキャピタルなどから出資を受ける
  • 金融機関・公的機関からの融資を受ける
  • 政府や地方自治体などが行なっている補助金・助成金制度を利用する

この他に最近では、クラウドファンディングで資金を調達する方法もあります。
しかし多くの場合は、金融機関や公的機関から融資を受けるか、国や地方自治体が行う補助金・助成金制度を利用することになると思います。

① 金融機関・公的機関からの融資を受ける : 創業・事業計画書が重要

融資には、銀行や信用金庫など民間企業が行う「民間融資」と国や地方自治体などが行う「公的融資」があります。
民間融資と公的融資の大きな違いは、融資の受けやすさです。
民間の銀行や信用金庫は、日本全国に支店があるため相談がしやすかったり、公的融資よりも高額の融資を受けられるといったメリットがあります。
しかし、審査が厳しく、金利が高いため、創業間もない企業や個人事業主にとっては、融資を受けるにはかなりハードルが高いと言えます。

一方、公的機関による融資制度は、中小企業や個人事業主を対象としているため、金利が低く、無担保・無保証で融資を受けられる制度もあります。
事業としての実績や信用がまだ不十分な事業者にとっては、嬉しい制度です。

しかし、公的融資は融資が受けやすいと言っても、簡単に受けられるわけではありません。
融資を受けるためには、お店や事業をどのように経営していくかを説明する、創業計画書や事業計画書が大変重要になります
政府系金融機関の融資制度に至っては、審査通過率が50%とも言われています。
半数は融資を受けられていないということです。
記入例通りに書いた計画書では、融資に失敗してしまいます。
創業計画書及び事業計画書は、創業の動機や事業の目的と将来のビジョン・販売計画・仕入計画・資金計画・売上予測・収支計画などを記載し、説得力のある内容にしなければなりません。
返済能力が期待できない事業者に対してお金を貸すことはできませんので、綿密なプランを練り、融資担当者に信用してもらえる計画書を作成する必要があります。

しかし、会計のプロではない事業者にとって、計画書の作成は困難な作業です。
顧問税理士がいれば、売上予測に基づいた損益計画、資金ショートを起こさない資金繰り計画が策定でき、説得力のある創業計画書・事業計画書作成のサポートをしてくれます

また、融資制度によっては、国が認定する「経営革新等支援機関(認定支援機関)(※5)」の指導を要件としているものもあるので注意が必要です。
例えば、日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金」がそれに当たりますが、このような融資を受けたい場合、認定支援機関を探さなければなりません。
税理士や公認会計士も認定支援機関の対象になっていますので、将来融資を検討されている経営者は、認定支援機関に認定されている税理士や公認会計士を探されることをおすすめします。

※5)「中小企業経営力強化支援法に基づき認定された経営革新等支援機関」の通称。
中小企業が経営相談等をする相談先として、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を経営革新等支援機関として認定する、国が認定した機関です。
商工会や商工会議所など中小企業支援者のほか、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士等が主な認定支援機関として認定されています。

② 補助金・助成金を利用する : 豊富な制度から目的に合ったものを選ぶ

補助金・助成金は、融資と違い、返済義務がありません
融資は「借りたお金」ですが、補助金や助成金は「もらったお金」です。
しかし、後払いで支給されるため、会社の財務状況が厳しい時には向かない制度です。

補助金と助成金にはどのような違いがあるでしょうか。
簡単にまとめると次のような違いがあります。

補助金 募集期間が限られており、書類や要件を満たす必要がある。
国や地方自治体などの政策推進が目的。
主に、経済産業省、または地方自治体管轄のものが多い。
例) IT導入補助金:業務の効率化や自動化のためのITツールの導入をサポート
助成金 一定の条件を満たすことで必ず支給される。
雇用の安定と労働環境の改善を目的としたものが多い。
主に、厚生労働省管轄のものが多い。
例) 雇用調整助成金:休業や教育訓練、出向を通じて労働者の雇用を維持した場合に支給される

都道府県、市区町村で行っている補助金・助成金制度は2000件を超えます。
このような制度に詳しい税理士であれば、事業の目的に合わせたものを紹介し、申請のサポートをしてくれます。
融資制度とも重なりますが、制度の種類が豊富なため、どのタイミングで、どの制度が使えそうかなど、特に通年でお付き合いする顧問税理士だからこそ、事業の成長に合わせた提案をしてくれるといったメリットがあります。
補助金・助成金制度は返済義務がありませんので、目的にあったものがあれば、使わない手はありません。

関連記事
失敗しない税理士の選び方・良い税理士の見極め方については、関連記事 「失敗しない税理士の選び方とは?目的に合った税理士を探す4つの方法を解説!」 をご覧ください。

まとめ|最良の経営のパートナーに出会うには?

本コラムでは、顧問税理士が企業にとってどのような役割を担っているのか、顧問契約をすることで企業にとってどんなメリットがあるかについて解説しました。
一言でいうと、顧問税理士は、経営のパートナーであるということです。
本コラムを通して、顧問税理士が経理業務の代行業者ではないということをご理解いただけたのであれば幸いです。

顧問とは、専門的な知識や経験をもって、企業や団体のサポートに当たる「アドバイザー」的な存在です。
顧問税理士も、貴社にとって良きアドバイザーとなるでしょう。
効率的・安定的に利益を得られているか、返済能力に問題はないかなど、会社の「健康状態」を定期的にチェックし、経営の安定と成長を会計と財務の面からアドバイスをし、会社が健全な運営を行えるようサポートをしてくれます。

顧問税理士をお探しの際は、是非顧問料で選ぶのではなく、自分が税理士に「何を求めているのか」で選んでみてください。
きっと、貴社の成長を一緒に考え行動してくれる、最良の経営のパートナーに出会えるはずです。

 

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