採用ブランディングとは?選ばれる企業になるためのコンテンツと発信方法

   
採用ブランディングとは?選ばれる企業になるためのコンテンツと発信方法

採用活動において、できるだけ多くの求職者の興味・関心を集められるかは大きな課題です。
しかし、労働人口の減少の影響もあって、待っているだけでは優秀な人材に来てもらうことは難しいというのが現実です。

最近では、twitterやFacebookなどのSNSを活用した「ソーシャルリクルーティング」という採用手法を取り入れている企業も多く見られます。
求職者に向けて積極的にコンテンツ(情報)を発信することで、自社への理解を深めてもらうことを目的としています。
しかし、発信するコンテンツが求職者にとって魅力的でなければ、興味を引くことはできません。
重要なのは「何を」発信するかです。

そこで本コラムでは、「採用ブランディング」という手法について解説します。
これは、コンテンツ発信を通して自社のファンをつくり選ばれる企業になるための方法です。

また、自社オフィスは魅力的なコンテンツとして最大の武器になります。
職場の雰囲気を目に見える形で求職者に向けて伝えることができるからです。
「働きたくなるオフィス」のつくり方についても事例を交えて解説します。

採用ブランディングとは?

「ブランド」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
企業であったり、商品であったり、または、人かもしれません。
高級感・愛着度・革新性・希少性など、ブランドをはかる「モノサシ」は様々です。
私たちは、いずれかの「モノサシ」によって、ものの価値をはかっています。
その中で特に価値があるものをブランドとして認知します。

私たち顧客はブランドの世界観を体験することで、愛着を持ったり、共感を覚えます。
一方、ブランドは顧客の期待を超えるブランド体験を提供し続けることでブランド価値を高めていきます。
ブランドとは、他とは異なる「価値」を持ち、その「価値」に対して顧客から信頼を得ている「証」です。
そして、ブランドをつくるための考え方や取り組みがブランディングです。

採用活動においても同様です。
自社をブランディングすることで、求職者から自社への愛着や共感を得ることが期待できます。
採用ブランディングとは、新卒・転職の採用市場において、自分たちは「◯◯といった価値観を持っている会社です」「社会の中で◯◯な価値を生む仕事をしています」など、自社の価値観(企業理念)を、あらゆる媒体を通じて発信していく手法のことを言います
採用ブランディングの特徴は、「企業理念への共感」を土台としていることです。

なぜ採用ブランディングを行うべき?その理由と目的とは?

なぜ、企業理念への共感を土台とする採用ブランディングを行う必要があるのでしょうか。
理念とは、ある物事に対する「こうするべきだ」という根本的な考え方です。
企業理念には、「自社が何のためにこの世に存在するのか」「どのような企業を目指しているのか」という問いに対する設立者・経営者の「こうするべきだ」という信念や哲学が示されています。
言い換えると、企業理念は、その企業が大切にしている価値観であると理解でできます。

ブランディング・ディレクターの深澤了氏(※1)は、採用活動について「自社の発展を共に実現する“同志”を見つける作業」だと言っています。
企業の成長は、社員が継続的に事業経営に参加することが必要です。
自社が大切にしている価値観を共有し、志を同じくする仲間が集まることで、企業は強くなるという考え方が採用ブランディングにはあります

下の表は、ワーク・エンゲージメントと組織コミットメントのスコア、離職率、企業の生産性の関係について調査したものです。
理念共感型の採用が企業を強する理由が分かります。

(独)労働政策研究・研修機構『人手不足等をめぐる現状と働き方 等に関する調査(2019)』

(独)労働政策研究・研修機構『人手不足等をめぐる現状と働き方 等に関する調査(2019)』

理念共感型の採用が企業を強する一つ目の理由は、企業の理念を理解しているほど、社員のワーク・エンゲージメントのスコアが高いということです。
ワーク・エンゲージメントとは、仕事に対してポジティブで充実した心理状態であること、熱意・没頭・活力の3要素が満たされている状態であることを指します。
言い換えれば、「働きがいを感じながら仕事ができている状態」ということです。

上表・左は、「ワーク・エンゲージメント・スコアと組織コミットメント(※2)」の関係に関する調査結果ですが、「企業の理念・戦略・事業内容を理解している」ほど、ワーク・エンゲージメントのスコアも高いということがこの調査から分かります。

二つ目は、ワーク・エンゲージメント・スコアが高い企業では、社員の離職率が低くなるということです(上表・右上)。働きがいを感じながら仕事ができている状態であれば、当然辞めようという意識は低くなります。

三つ目の理由ですが、ワーク・エンゲージメント・スコアと企業の労働生産性において正の相関関係があることが確認されています(上表・右下)。1単位のワーク・エンゲージメント・スコアの上昇は、企業の労働生産性を1%~ 2%程度上昇させる可能性を示唆するとしています。

理念に共感する社員が集まる企業では、社員が仕事に働きがいを感じて働いているので、継続的かつ熱心に事業経営に参加し、結果的に企業の業績も上がるという好循環が生まれます
理念共感型の採用ブランディングは、志を同じくする“同志”を集うので強い企業をつくることになります。

※1)『知名度が低くても“光る人材”が集まる 採用ブランディング 完全版』 深澤 了 著
※2)組織コミットメント:企業の理念等や担当業務の意義等を理解した上で、企業の組織風土に好感をもっている

採用ブランディングを導入するメリットとは?

採用ブランディングを導入するメリットとは?

採用ブランディングを取り入れることで企業にとってどのようなメリットがあるでしょうか。

  • 自社に興味を持つ求職者・応募者数が増える
  • 求職者と自社のマッチングの精度を上げられる
  • 内定承諾率・定着率が上がる
  • 採用競争に左右されない採用活動ができる

自社に興味を持つ求職者・応募者数が増える

採用ブランディングは自社のブランド価値を高める取り組みであるため、求職者の興味・関心を引きつけることができます。
「この企業のことをもっと知りたい」と思った求職者は、企業が発信するコンテンツや体験を通して「この企業で働きたい」という意識が高まります。
潜在層にアプローチするので、興味・関心を寄せてくれる数は未知数です。

自社に興味を持つ求職者・応募者数が増える

採用ブランディングは、自社の大切にしている価値観を明確に示します。
そういった意味で、どのような人材に来てほしいのかについても分かりやすいため、自社と求職者の価値観が一致しやすいというメリットがあります。

内定承諾率・定着率が上がる

求職者はすでに「この企業で働きたい」という気持ちになっているため、内定を出した後に他の企業に逃げてしまうといったことを避けられます。

もし、給与や休日など条件を自社の強みとしてしまうと、求職者はより良い条件の企業から内定を受けた場合、内定辞退という結果になってしまう可能性があります。

また、企業と社員は価値観を同じくしているため、社員はその企業で働く意義を強く認識しています。
よって、定着率も上がります。
ワーク・エンゲージメント・スコアが高いほど離職率が低くなるという調査からも分かる通りです。

採用競争に左右されない採用活動ができる

求める人材像がはっきりしているため、競争とは関係なく採用活動を行えます。
ただし、ブランディングは一朝一夕では行えませんので、持続的な活動が必要です。

採用ブランディングの方法とは? 一貫したコンセプトを設定する

採用ブランディングの方法とは? 一貫したコンセプトを設定する

採用ブランディングは、自社が大切にする価値観を、採用フローの全活動を通して発信していきます。
「採用フローの全活動」とは具体的に、就職情報サイト・自社サイト・SNS・パンフレット・企業説明会・インターン・面接など、求職者との接点となるタッチポイントのことを指します。

これらのタッチポイントには一貫性のあるコンセプトを設定する必要があります。
「この会社は◯◯という価値観を大切にしているんだ」ということを、統一性のあるメッセージとして求職者に伝えることで、軸のぶれない企業イメージが確立できます。

コンセプトは、ターゲットとなる求職者に、自社の「強み」を分かりやすく伝えることがポイントです
また、企業理念をベースとした「強み」であることがとても重要です。

コンセプトの設定方法については、書籍やコンサルティングの専門業者もあるので、本格的に取り組みたい場合はそれらを利用することをお勧めしますが、ここでは、コンセプト設定の要点をまとめます。

① 「自社の強み」をできるだけ書き出す

  • なぜこの会社に入ったのか?志望動機は?
  • 事業上の強みは?
  • 社内にどんな文化や習慣があるか? など

「強み」だと思うことをできるだけ多く書き出していきます。
最終的に、その中から特に自信のあるものを2〜3つに絞ります。
もちろん企業理念に基づいた「強み」であることを忘れてはなりません。

また、ブレインストーミングは、人事・総務の担当者だけでなく、経営層から各部署のメンバーまで会社全体で取り組むことが大切です。

② どんな人を採用したい? 求める人物像(ペルソナ)を描く

ペルソナとは、簡単に言えば採用ターゲットのことですが、なるべくリアリティのある人物として設定します。具体的には次の通りです。

  • 基本情報(年齢・性別・居住地・家族構成)
  • 職業(業種・役職・最終学歴)・学生(学部・専攻)
  • 生活習慣(起床/就寝時間・通勤/通学時間・休日の過ごし方・バイト・サークル)
  • 性格・趣味・好きな本・座右の銘 など

具体的な人物を設定することで、イメージしやすくなりますので、採用ターゲット像を社内で統一できるといった効果があります。
軸のぶれない採用ブランディングを実施するために、共通イメージを全社で共有する必要があります。

性別や学歴をペルソナの属性として取り入れるべきかは、もしかするとあまり重要ではないかもしれません。
むしろ、信念や信条をペルソナ像に加えてみた方が、自社の価値観(企業理念)に共感する人を採用できるのではないでしょうか。

③ ターゲットが就職・転職において重視していることを考える

採用ターゲットとなる人物(ペルソナ)が就職する際に重視するであろうことを、ペルソナの気持ちになって想像し、書き出していきます。例えば次の通りです。

  • 意欲があればチャレンジできる
  • 年齢に関係なく重要なポジションを任せてもらえる
  • 上下関係がフラットで、上司と部下が平等に話せる
  • チームプレイを重視し、一丸となって仕事を進める
  • 能力・実績・努力を公平に評価してもらえる
  • 常に新しいものやことを取り入れる文化がある など

ターゲットが重視することに給与や休日など「条件」の良し悪しが含まれる場合には、本当に貴社が求めている人物であるのか、もう一度考える必要があります。
採用ブランディングは、自社の価値観(企業理念)に共感してくれる人材を採用することを目的としています。
就職・転職する企業を決める基準が「条件の良し悪し」である場合、より条件の良い会社があった場合に逃げられてしまう可能性があるため、継続的に事業経営に参加してもらえるかは懐疑的です。

以上、①から③を行った上で、理念への共感を土台とした「自社の強み」と欲しい人材が「重視すること」をペルソナに伝わるように文章にしてみます。これがコンセプトとなります

「この企業で働きたい」と思ってもらうにはどうすれば良いか?

「この企業で働きたい」と思ってもらうにはどうすれば良いか?

求職者が「この企業で働きたい」と思っている状態とは、求職者にとってその企業のブランド価値が高まっている状態だと言えます。
では、どうすれば「この企業で働きたい」と思ってもらえるのでしょうか。
商品などのブランディングの過程を思い出してみると良いでしょう。

顧客は「ブランドの世界観を体験すること」で、そのブランドに愛着がわいたり共感を覚えたりします。
また、企業は、顧客に「ブランドの世界観を提供すること」でブランドの価値を高めていきます。
採用ブランディングにおいても同様です。

企業は、求職者に「自社(ブランド)の世界観を提供する」ことで企業価値を高めます。
その「世界観」を体験した求職者が、その企業のファンになることで「この企業で働きたい」と思うようになるでしょう。

「世界観」とは、企業が大切にしている価値観を、(求職者が)五感を通じて感じ取り思い描くイメージです。
求職者は、WEBサイト・SNS・パンフレット・企業説明会・インターン・面接などの各タッチポイントにおいて、企業の提供する「世界観」を体験します。

「世界観」を創造する上で抑えておきたいポイントがあります。
以下の2点がポイントです。

  • 気持ちが高揚するようなコンテンツであること
  • 人間が持つ感覚機能の特性を利用すること

求職者が期待や希望などの感情で気分が高まるようなコンテンツ内容であることも重要です。
例えば、企業理念を構成している3つの要素、Mission(使命)・Vision(志・実現したい未来)・Value(価値観)をコンテンツに盛り込むことで、求職者のやる気・意欲・高揚感などを刺激することが期待できます
ただし、決して嘘があってはならないということは付け加えておきたいと思います。

また、人間の感覚機能の特性を取り入れることもポイントです。
五感の中でもっとも強い感覚を持つのが「視覚」です。
人間の脳は「目」から入ってくる情報に一番影響を受けます。その割合は約9割と言われています。
求職者の目に触れるWEBサイトやSNSの役割は重要です。
何を視覚化すれば効果的かについては後ほど解説します。

企業と新入社員のミスマッチを防ぐ!初職の離職理由と就業観とは?

「働く企業に何を期待しているのか?」「どのような働き方をしたいのか?」「どのような社風を望んでいるのか?」など求職者の志向について知ることは、企業と求職者の間でミスマッチを起こさないために重要です。
そこで本章では、何を視覚化したら良いかについて考える前に、以下の2点について確認しておきたいと思います。

《 初職の離職理由 》

  1. 初職を離職した理由
  2. 大学生・新卒生の就業観

① 初職の離職理由とは?実態に即して正しい情報を伝える

平成29年 内閣府『子供・若者の意識に関する調査』

平成29年 内閣府『子供・若者の意識に関する調査』

上表は内閣府が16〜29歳までの若者を対象に行った『初職の離職理由』の調査結果です。
初職を離職した理由は上から順に、次のような調査結果となっています。

  • 仕事が自分に合わなかったため(43.4%)
  • 人間関係がよくなかったため(23.7%)
  • 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため(23.4%)
  • 賃金がよくなかったため(20.7%)

就職情報サイト・ホームページ・会社説明会・採用担当者などから得た情報や印象と現実との間にギャップがあったために、残念ながら離職に至ってしまったということでしょう。
奇をてらったキャッチコピーを使用したり、採用サイトをおしゃれにしてみたり、社交的で人当たりの良い採用担当者を前面に立たせたりといったことはよくあることです。

イメージ戦略としては成功し多くの応募者数を獲得できるかもしれません。
しかし、実態と異なるために、入社後に「こんなはずではなかった」というミスマッチが起きてしまいます。
せっかく入社したのにもかかわらず辞めてしまっては、企業にとっても、求職者にとっても不幸なことです。
応募(エントリー)の段階でミスマッチを防ぐためにも、実態に即した正しい情報を丁寧かつ具体的に伝えることが重要です。

② 大学生・新卒生の就業観とは?自社とマッチングする働き方で訴求する

デロイト トーマツ コンサルティング『就業観に関する調査』

デロイト トーマツ コンサルティング『就業観に関する調査』(2018)

状況観察型 会社選定において様々な軸で比較検討を行い、状況に応じて最適な意思決定を行う
チームワーク重視型 職場の人間関係を何よりも重視し、大切な仲間と共に仕事を遂行する事を志向する
自由重視型 自分のやりたい事を柔軟に行える事を重視し、仕事とプライベート両方の充実を志向する
安定志向型 企業や人間関係等、所属する環境が長期的に安定している事を重視する
自己裁量重視型 自己裁量で仕事を遂行する事を重視し、キャリア初期にはチャレンジ経験を志向する
プロフェッショナル志向型 どこに行っても通用するスキルや専門性を高める事を重視し、(それを実現しやすいと学生が考える)大企業を志向する

初職の離職理由の第1位は、「仕事が自分に合わなかったため(43.4%)」でした。
自社での業務をできるだけ具体的かつ丁寧に伝えることが重要であることは先ほど述べた通りですが、一方で、求職者がどのような働き方を求めているのかを知ることも必要です

昔では当たり前であった、上下関係が厳しく、競争精神の強い人が集まっているような職場は昨今では好まれないでしょう。
良かれと思っている企業文化が時代にそぐわないといったこともありますので、今どのような働き方が求められているのかについては意識しておく必要があります。

上表は、デロイト トーマツ コンサルティングが、大学生と新卒2年目までの社会人を対象に行った『就業観に関する調査』結果です。
最多の「状況観察型(31%)」は、状況に応じて最適な意思決定を行いたいという層です。
この層が職場に期待することは、「役割や期待を明確に伝えてくれること」「会社の目標を適時発信してくれること」です。
また、「自分の役割が明確かつ具体的に定義されていること」がモチベーションの動機となる傾向にあるということです。

OJTや社員教育はどのように行われているのか、部署・チーム・他部署間でどのような仕事をしているのか、1on1ミーティングのような部下の成長を促進する体制があるのか、どのように業績目標を立て、どのように評価されているのかなど、具体的な社内事例を示すことで適切な訴求ができるでしょう。

しかし、実態に即していないことを無理に訴求するべきではありません。
あくまで採用ブランディングで設定したコンセプトに軸足を置くということを忘れないようにしましょう

自社の働き方とマッチングする働き方を訴求ポイントとします。

オフィスは、貴社で「働いている姿」を想像させる最適なコンテンツ

オフィスは、貴社で「働いている姿」を想像させる最適なコンテンツ

オフィスは「働き方」がもっとも表れる場所です。
オフィスを公開することによって、自分たちがどのような働き方をしているのかを視覚的に訴求することができるのです。
そして、現場で働く社員の姿は、Mission(使命)・Vision(志・実現したい未来)・Value(価値観)を体現しています。
それを見た求職者が「自分もこのように働きたい」と、貴社で働く自分の姿が想像できます。
求職者の価値観と一致すれば、その気持ちは一層強くなるでしょう。

オフィスは、魅力的なコンテンツを発信する上で最大の武器となります。
モデルやイメージ写真を使用するのではなく、働いている社員の姿や社内などリアリティのある場面を積極的に見せていくと良いでしょう。

最近では、自社のWEBサイトでオフィス内を公開している企業をしばしば見るようになりました。
ここでは、いくつかの事例を紹介したいと思います。

Sansan株式会社

Sansan株式会社01

Sansan株式会社では公式メディア「mimi」を立ち上げ、働く環境や社内制度・社員へのインタビュー・社員によるコラムを通じて情報発信をされています。
本社オフィスツアー!私たちが働く環境をお見せします』では、オフィスツアーの擬似体験ができるコンテンツ内容になっていたり、社員のミッションに対する思いが語られる動画も公開されています。

中西金属工業株式会社

中西金属工業株式会社01

NKC Recruiting 公式サイト『CULTURE オフィス環境

中西金属工業株式会社は、ベアリング中核部品大手の老舗企業です。最近、社内の主力事業部で職制・管理職を廃止し、フラットな進化型組織へと社内改革に取り組まれています。
採用サイト内にオフィス環境を紹介するページを設けられていますが、部署を超えた交流が行われる空間「クロスパーク」を始め、集中スペースや開発室など、多様な働き方を推進するオフィスの様子が見られます。

株式会社日立システムズ

株式会社日立システムズ01
株式会社日立システムズ02
株式会社日立システムズ03

Connect SMILE∞ LABO(コネクト スマイル ラボ)は、「あらゆるものをつなぎ、あたらしいSMILEをつくる実験の場」というコンセプトのオフィスです。
オフィス内には「健康経営」や「働き方改革」につながるさまざまな要素がちりばめられています。
それらを一つの空間でつなぐことで、新しい発想が生まれたり、一人ひとりの行動が変わったりするオフィスだということです。
オフィス内はコンセプトと共に動画でも紹介されています。

「働きたくなるオフィス」をつくる方法とは?オフィスデザインのポイントを解説

貴社のオフィスや現場で働く社員の姿が、生き生きとした「働き方」やワクワクする「世界観」となって求職者の目に映れば、魅力的なオフィスとなります。
ここでは、「働きたくなるオフィス」をつくる方法について、オフィスデザインのポイントを事例を交えながら紹介します。

自主的な働き方を尊重するフリーアドレスオフィス

フリーアドレスとは、社員がオフィスの中で固定席を持たず、自由に席を選んで仕事をする働き方のことで、働き方改革の流れの中で再注目されるようになりました。
人の流れを流動的にすることで部署を超えたコミュニケーションを活発にし、新しいビジネスを創出することが目的です。
社員一人ひとりが主体的に働くことになり、モチベーションのアップに寄与する働き方として取り入れる企業が増えています。

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テレワークの導入が進む今、私たちの働き方が変わると共にオフィスの存在意味も大きく変わるでしょう。そこで、フリーアドレスを導入した新しい働き方を実現する方法について解説しています。関連記事「フリーアドレスオフィスのメリット・デメリットとは?新しい働き方を実現する3つの秘訣」をご覧ください。

オフィス内の集中できる空間 パーソナルブース

オフィスで集中することはできますか?
頻繁なミーティングや、周りの人から声を掛けられたり、電話が入ったりと意外に集中できる時間が少ないのではないかと思います。
しかし、集中しなければならない仕事があるのも事実です。

1時間だけ集中したい、取引先との打ち合わせにWEB会議を利用したい、オンラインセミナーに参加したいといった場面はよくあります。
一人ひとりが業務内容によって働く場所を自由に変えられる働き方は、主体的に働きたい社員にとって働きやすい環境となるでしょう。

また、自分の意志やペースで働けることは、幸せな働き方ができるひとつの要素です。
幸せな働き方ができている人は、生産性・創造性が高く、欠勤率や離職率が低いということが分かっています。
社員が幸せに働ける環境をつくることもまた企業の成長に必要なことです。

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働きがいのある会社とはどのような会社なのか、また社員が幸せだと感じるための要因とは何なのかついては、関連記事「働きがいのある会社とは?従業員が幸福を感じる5つの要素を解説」にて詳しく解説しています。ぜひ、併せてご覧ください。
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オフィスに集中ブースを設置するメリットと具体的な設置方法については、関連記事「集中ブースがオフィスになくてはならない理由とは?具体的な4つの対策」をご覧ください。

コミュニケーションが弾むカジュアルミーティング空間

会議室ではなく、オフィスの一角にミーティングスペースをつくります。
自然とコミュニケーションが発生するように、そして、会話が弾むようにくつろいだ雰囲気にすることがポイントです。
上司・部下、先輩・後輩といった上下関係から生まれる緊張感を取り除き、ざっくばらんに話せる人間関係は仕事にも良い効果が期待できます。
デスクを囲むスタイルではないので、コロナ禍のオフィスでもソーシャルディスタンスが取りやすいレイアウトになります。

壁にキャッチコピーで企業理念への共感を促す

目標を書いた紙をよく見える場所に貼ることがありますが、社員や来客者が必ず見る場所(壁)に企業理念を表すキャッチコピーを書きます。
会社が大切にしている理念を、分かりやすい言葉やデザインで表現することで、社員全員が理念を共有し、同じ方向を向いて前進するという目的があります。

来客者や企業に訪れた求職者に対しても、何を大事にしている企業なのか明確なメッセージとして印象に残す効果が期待できます。
ブランディングとしては視覚的に訴求できる効果的な方法です。

オフィスデザインにコーポレートカラーを取り入れる

会社の入り口となるエントランスのサイン、空間全体の印象を決める壁や床などのデザインとしてコーポレートカラーを取り入れます。
五感のうち視覚情報が占める割合は約9割だと述べましたが、その内の約8割が色彩情報だそうです。
コーポレートカラーは、企業理念に由来していることが多く、企業の「世界観」を印象付けるのに効果的な方法です。

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ワークスタイルの変化や働き方の多様化により、現在ではオフィスレイアウトも多様になりました。働き方に合ったオフィスレイアウトの作り方については、関連記事「働き方に合ったオフィスのレイアウトを作る3つのコツ」にて詳しく解説しています。ぜひ、併せてご覧ください。

まとめ|優秀な人材の獲得は、社員がいきいきと働く姿があってこそ

「優秀な人材を獲得したい」と採用担当者のほとんどがそう考えているでしょう。しかし、同時に「優秀な人材」から選ばれる企業にならなければなりません。

優秀な人材とは、仕事において成果をもたらしてくれる人のことですが、採用ブランディングにおいては、仕事に誇りややりがいを感じ、いきいきと働いている、ワーク・エンゲージメントの高い社員が「優秀な人材」です。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査では、ワーク・エンゲージメントのスコアと組織コミットメントスコア、離職率、企業の生産性に相関関係があることが分かりました。
「企業の理念・戦略・事業内容を理解している」社員が集まる企業では、社員のワーク・エンゲージメントのスコアが高い傾向にあり、離職率が低く、労働生産性も高いということです。

採用ブランディングは自社の企業理念に共感する人材を採用するため、継続的な事業の成長に必要な「優秀な人材」を獲得できる最適な手段だと言えます。
しかし、見落としてはならないことがあります。
それは、貴社の社員がいきいきと働けているかということです。
ぜひ、周りで働く同僚たちの表情を見渡してみてください。

オフィスは貴社の「働き方」を、そこで働く社員の姿や表情は「働きがい」を最もよく表しています。
求職者は、WEBサイト、パンフレット、企業説明会、OB・OG訪問、インターン、面接などを通じて、貴社のオフィスや社員の姿を目にします。
貴社のオフィスやそこで働く社員の姿がいきいき・ワクワクする存在として求職者の目に映れば、貴社への興味は高まることでしょう。

採用ブランディングは、企業理念への共感と一貫したコンセプトの設定が重要ですが、それらを体現しているのは、現場で働く社員です。
「優秀な人材」の獲得は、貴社での仕事に社員が誇りややりがいを感じ、いきいきと働いていればこそ、期待した成果が得られるでしょう。

 

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