集中ブースがオフィスになくてはならない理由とは?今からできる4つの設置方法

   
集中ブースがオフィスになくてはならない理由とは?今からできる4つの設置方法

コロナ禍以前より、席を自由化したフリーアドレスオフィスや、仕事の内容に合わせて場所を選ぶABW型のオフィスが採用されるなど、旧来の島型レイアウトから新しいオフィス形態へと変化の過程にありました。
特に人気があり採用する企業が増えているフリーアドレスオフィスは、壁を取り払い座席を自由化するなど開放的な空間にすることで、社員がオフィス内を動き回り部署を超えて交流することを目的としています。
いつもと違う人たちとの交流は、気づきやひらめきを誘発しイノベーションにつながることが期待できることから、注目を浴びているオフィス形態です。

しかし、フリーアドレスオフィスを採用した企業からは、集中ブースの必要性を訴える声がよく聞かれるようになりました
座席を自由化したことで自分の周りを複数の人が行き来するようになり、集中するのが難しくなったことが理由に挙げられます。
また最近では、顧客・取引先との打ち合わせや商談にWeb会議システムを使ってオンラインで行う機会が増えたことからもパーソナルスペースに対するニーズが高くなったと考えられます。

そこで、設置を検討したいのが、集中ブースです。
集中ブースは、オフィスの喧騒を遮り作業に没頭したいといった社員のニーズに応えたパーソナルスペースです。
本コラムでは、今からでもできる集中ブースの設置方法と現在のオフィスでも設置しやすいおすすめの集中ブースをご紹介します。
そして、これからオフィスを開設・リニューアルする方のために、集中ブースを設置する際のチェックポイントを解説します。

オフィスの「集中ブース」とは?

オフィスの「集中ブース」とは?

集中ブースとは、その名前の通り、「集中して作業に取り組むためのオフィス空間」です。
集中ブースは、個室ブースやパーソナルブース、あるいはワークブースと呼ばれたりもしますが、パネル等で座席を囲うことで自分だけの個室空間をつくることからそう呼ばれています(※)

コミュニケーションを重視して設計されたフリーアドレスオフィスやABW型のオフィスでは、社員がオフィス内を自由に歩き回る機会が多くなるため、話し声や人が歩く足音などの騒音、前後を通る人の視線が気になり集中力が途切れるといった課題があります。
こういったオフィスにおいては集中ブースの設置が必要不可欠です。

また、現在島型レイアウトのオフィスだったとしても「集中しづらいな」と感じたり、集中したいときに声を掛けられてしまって、なかなか集中できないといった経験をされているのではないでしょうか。
社員が本来の作業に向き合うのが難しいときに活用されるのが、集中ブースです。
大掛かりなレイアウト変更をしなくとも、すぐに設置できるのが集中ブースの良い点です。

※) 集中ブースは、電話ボックスのような完全個室型(フルクローズ型)のブースも含まれることもありますが、本コラムでは、天井がない半個室型のブースを集中ブースとしています。 完全個室型(フルクローズ型)のワークブースについては、関連記事 「ワークブース導入のメリットとは?Web会議からグループワークまで目的に合った選び方を解説」をご覧ください。

オフィスにおいて集中ブースが重要視される理由とは?

上表は現状のオフィスのレイアウトやスペースに関する課題について尋ねた調査です。
設問は大きく「個人的属性」と「組織的属性」に分けられます。
調査では、個人的属性に関する設問のスコアが高いことが分かりました。
特に、集中度(2) ・ 広さ(3) ・ 使いやすさ(10)の項目が高いことから、ワーカーは個人業務の効率性を上げるスペースやレイアウトを重要視していると推測できます。
なかでも「集中して仕事ができるように工夫されていること(2)」は、ワーカーにとって最も重要であるということが明らかとなりました
この調査からも集中ブースのニーズが高いことが言えるでしょう。

本章では、なぜ集中ブースがオフィスで重要だと認識されるようになったのかについて解説したいと思います。

① Web会議などインターネットを活用した仕事の機会が増えた

ネット環境とパソコンなどのデバイスさえあれば場所や時間を問わず顔を合わせて話すことができるといった利点から、Web会議やWebセミナーはコロナ禍で一気に普及することとなりました。
しかし、オフィスの中で場所を確保するのは大変ではないでしょうか。
会議室を占有するわけにもいきませんし、だからといって共有スペースや自席でWeb会議に参加するにも騒音や視線が気になって集中できません。
自分の話し声が周りの人の迷惑になることもあります。

集中ブースは「自分だけの会議室」をオフィス内に設けるようなイメージです。
家具から組み立てられるものまで様々なタイプがありますので、実際に使われる場面や条件を想定して選ぶことができます。

② 集中して仕事ができる場所がほしいというニーズが高まっている

集中して仕事ができる場所がほしいというニーズが高まっている

ワーカーが集中して仕事ができる環境を求めていることは、先ほど示した調査(『 オフィスのスペースやレイアウトに関する各項目の重要度・実現度 』)の通りです。
これまでオフィスは作業効率やスペース効率といった「効率性」を重視したレイアウトであることが多く、仕事のしやすさについては重要視されていませんでした。
狭くても、うるさくても、「我慢」するのが当たり前だったと思います。
また、席も固定席であったため、どこか集中しやすい場所に移動して仕事をするといったこともほぼ不可能でした。
このようなオフィスでは、気分に応じて環境を変えたり、活動内容に合わせて場所を選ぶことができないため、決して仕事がしやすいオフィスだとは言えないでしょう。

新しいオフィス形態が採用されるようになってきた現在ではどうでしょうか。
フリーアドレスオフィスにもABW型(※)のオフィスにも課題があります。
純粋なフリーアドレスオフィスとは「席が自由化されたオフィス」のことを指し、仕事の内容に合わせて場所を選ぶといった機能は兼ね備えていません。
限られた範囲内で比較的静かな場所に移動する程度の選択肢しかなく、話し声や足音などの騒音に悩まされることに変わりはありません。
そういった意味で、決して働きやすい環境だとは言えません。

仕事において、アイデア出しをする、企画を考える、プレゼンの資料をつくる、レポートをまとめるなど、できれば目の前のことだけに没頭したい状況は意外にたくさんあります
このようなワーカーの要望が「集中して仕事ができる場所がほしい」という声に繋がっているのだと考えられます。
これらは、新しいオフィス形態の登場によって顕在化した課題です。

※) フリーアドレスオフィスより後になって登場したABW(Activity Based Working)型オフィスは、業務内容(Activity)に合った場所を選んで、移動をしながら仕事をする形態を取ります。オフィス内には集中するためのゾーンも設けられますが、場所はオフィスに限らずどこでも良いとされています。

③ 環境を変えることが継続的な集中力の維持につながる

集中力を持続させることは困難です。
人間の集中力は、15分ごとに小休憩を挟むことで高いレベルを維持できると言われており、継続して作業を行う場合、一定の集中力を維持できるのはせいぜい90分が限界であるとも言われています。
そのくらい人間が集中した時間を保つことは難しいのです。
自分のデスクで途切れてしまった集中力をなんとか回復させようとするよりも、集中ブースに移動して物理的環境を変えて気持ちを切り替えることが集中力の回復に役に立ちます。

今からでもできる集中ブース 4つの設置方法

現在のオフィスに集中ブースを設置することは可能でしょうか。
集中ブースのほとんどは特別な施工の必要がなく、後付けでも十分可能なものです。
タイプは様々で、オフィス家具から組み立て式のブース、あるいは設置予定スペースの寸法を測りローパーテーションでつくることもできます。
本章では、今からでもできる集中ブースの設置方法についてご紹介します。

関連記事
防音性に優れた完全個室型の集中ブース(ワークブース)については、関連記事 「ワークブース導入のメリットとは?Web会議からグループワークまで目的に合った選び方を解説」 にて解説しております。あわせてご覧ください。

ソロワーク用家具 パーソナルソファを設置する

パーソナルソファを設置する方法が一番簡単です
ソロワーク専用に開発された家具で、最も新しい種類のオフィス家具です。
環境を変えて集中力を回復させたり、気分をリフレッシュさせるのに活躍します。
パーソナルソファは遮音効果はあまり高くありませんが、パネルの遮視性、そしてソファという性質上、緊張をほぐしリラックスできる効果が期待できます。
ストレスは、労働意欲の低下をまねき、結果的に生産性を落としてしまうという悪循環に陥ります。
適度な集中力を保ちつつリラックスした状態で仕事ができる環境は、社員にとっての働きやすさに繋がります。
パーソナルソファはコンパクトであるため、現在のオフィスでも設置しやすいのではないかと思います。

施工不要のパーティションブースを設置する

パーティションブースは、ローパーテーションを連結させて組み立てる仕様の集中ブースで施工を必要としません 。
吸音パネルで遮音性も高く中から発する声が外に漏れにくいためWeb会議にも使えます。
パーソナルソファと比べると、高い集中力を必要とする業務に向いています。
しかし、背後はオープンであるため、機密情報の取り扱いについては十分に気をつける必要があるでしょう。

ローパーテーションで仕切る

ローパーテーションは、スペースに制限があったり、予算に余裕がない場合にも検討したいカスタマイズ性の高い設置方法です。

ローパーテーションのパネルの高さは、メーカーによって差異はありますが、1200mm ・ 1600mm ・ 1800mmの3サイズを中心に展開されています。
着座時に視界が遮られる高さは1500 ~ 1600mmを目安にすると良いでしょう
1200mmですとちょうど視線くらいの高さになりますので、前後左右の人が視界に入ってしまい集中の妨げとなるかもしれません。

パーテーションのデザインや色のバリエーションは豊富で、モダンになっているのも最近の傾向で、現在のオフィスデザインに合わせたものを選びやすいでしょう。
また、防炎・抗菌・抗ウイルスなどといった性能、ドアの取り付け、空間のサイズに合わせたカスタマイズ性などの機能を備えており、使用目的、用途、条件に合わせたパーソナルスペースをつくることができるのが特徴です。

また、ローパーテーションは、ほとんどの場合自分たちで組み立てることができます。
マグネットでパーテーション同士を連結できるものもありますので、より設置が簡単になりました。

窓側に席を設置する

オフィスに景色を望める窓があれば、是非利用したいスペースです。
窓に沿ってカウンター席を設けることで集中スペースをつくることができます

自然光や緑のない職場では、疾病による欠勤率が高かったと報告されています(※)
「窓」がもたらす自然光や眺望は、ストレスの軽減や疾病による欠勤率の低減に繋がる効果が期待できます。
集中力を持続し続けることは難しいため、時折景色を眺めることでオンとオフの切り替えをすると心理的に良い効果をもたらすでしょう。

※)アメリカのコンサルティング会社ロバートソン・クーパーが、世界16か国 7,600人のワーカーを対象に行った調査 『Human Spaces : 世界中の職場における、バイオフィリックデザインが与える影響』

オフィスにおすすめの集中ブース5選

集中ブースは、現在のオフィスにも十分設置可能なパーソナルスペースです。
本章では、オフィスに集中する空間が欲しいと考えているがどのように設置できるかを知りたい、柔軟な働き方を導入する第一歩としてまずは集中ブースを設置したいと考えている企業の方におすすめの集中ブースをご紹介します。

パーソナルソファ

パネル付きソファ ハイビス
商品名 外部リンク パネル付きソファ ハイビス
タイプ ソファ型パーソナルブース
サイズ 幅 920 × 奥行 760 × 高さ 1240mm
座面高さ 430mm
機能 サイドテーブル ・ 背もたれ用クッション

ハイビスは、半個室空間をつくれるソファタイプのパーソナルブースです。
ノートPCが置けるテーブル(380 × 230mm)が付いた、モバイルワーク対応の新しいタイプのオフィス家具です。
周りを囲むパネルは、着座時に頭が隠れるくらいの高さ(1240mm)になるため、周囲の声が適度に遮音されます。
しっかり集中するというよりは、リラックスしながらできる作業や短時間の使用に向いています。
サイズがコンパクトでリーズナブルな価格設定のため、初めて集中ブースを設置する企業様にもおすすめです。

プラス パーソナルブース COVO(コーヴォ)
商品名 外部リンク プラス パーソナルブース COVO(コーヴォ)
タイプ ソファ型パーソナルブース
サイズ ① 幅968 × 奥行796 × 高さ1200mm
② 幅968 × 奥行796 × 高さ1600mm
③ 幅1232 × 奥行1003 × 高さ1600mm
機能 サイドテーブル ( ① ② ③ )
配線口・サイド収納・ハンガーフック ( ③ )
備考 グリーン購入法適合商品

パネルの高さが1200mmと1600mmから選べ、横に組み合わせてレイアウトします。
COVOのタイプは2つあり、ひとつはパネル付きのソファブース。
もうひとつは、より個室に近いタイプのソファブースです。
COVOは、イタリア語で「隠れ家」を意味しますが、ブース内には荷物を置けるサイド収納、ジャケットやコートが掛けられるハンガーフック、覗き込みを防ぐパネルといいた機能を備えており、まるで「小さなパーソナルオフィス」のような空間になっています。
また、ノートパソコンやスマートフォンなどの充電にも困らないよう、電源タップが設置できる配線口も完備しています。
このようにリモートワーク時代に相応しい機能が付いた集中ブースです。

パネルデスク (組み立て式個別ブース)

パネルデスク KA・KO・I
商品名 外部リンク パネルデスク KA ・ KO ・ I
タイプ パネルデスク (組み立て式個別ブース)
サイズ 幅1000 × 奥行800 × 高さ1200mm (背板付きタイプ)
機能 配線ボックス・アジャスター付き / 連結可能

両サイドのパネルは、高さ1200mmで両隣の視線を気にせず落ち着いて目の前の作業に集中することができます。
デスクは、パネルデスクとしては広めの1000mm幅(内寸952mm)。
ノートPCはもちろん、資料を広げながらの作業もできるだけの広さがあります。
作業中の快適性から高機能チェアを採用している企業も多いと思いますが、パネルデスク KA・KO・Iは、床から天板までの高さ(695mm)も十分確保し、高機能チェアの肘掛けも収まりやすい設計になっています。

単体での使用の他、必要な席数分連結し拡張することもでき、オフィスレイアウトに合わせて、壁に沿って設置したり、アイランド型にレイアウトすることも可能です。
また、自分で組み立てることができるため、特別な施工はいりません。

ミニマムサイズのワークブース

オカムラ drape(ドレープ)
商品名 オカムラ drape(ドレープ)
こちらの商品については、オフィスコムのショールームまでお問い合わせください
タイプ 個室型ブース
サイズ 幅1000×奥行き1000×高さ1520mm / 1920 (トライ)
幅1000×奥行き1200×高さ1520mm / 1920 (テトラ)
幅1040×奥行き1200×高さ1920mm (ペンタ)
幅1150×奥行き1120×高さ1520mm / 1920 (ソファタイプ)
機能 天板・配線口 ※オプションで照明取付け可能
備考 残響室法吸音率(500 〜 1000Hz) : 0.77 〜 0.93

ドレープは、最小1㎡のスペースから設置できるミニマムな個室型の集中ブースです。
周囲を囲むパネルは吸音材を内包しているため音を吸収し反響しない構造になっています。
Web会議や電話など遮音したい業務に最適です。
また、座って仕事をするシーンと立って仕事をするシーンを想定し、パネルの高さは1520mmと1920mmから選べます。

Webでの販売が難しいほどレイアウトパターンが豊富なのもドレープの特徴です。
商品について、どのようなレイアウトができるかについては、ショールームまでお問い合わせください。

サイドテーブル付きパーソナルブース

プラス TFパネル G型個室
商品名 外部リンク プラス TFパネル G型個室
タイプ 個室型ブース
サイズ 幅1496 × 奥行1796 × 高さ1520mm (単体型)
機能 天板(デスク ・ サイドテーブル) ・ 配線受け ・ ハンガーフック / 連結可能

パネルが作業スペースの四方を囲む構造をしているため、より集中した時間を過ごせる個室性の高いワークスペースになっています。
パネルの高さは座ったときに頭が完全に隠れる1520mm。
内部は、サイドテーブルが付いた広々とした空間で、ジャケットやコートを掛けられるフックも付いており落ち着いて仕事をすることができます。
設置は、もちろん一台で独立した使用もできますが、連結できるタイプもあります。
連結することで導入コストを削減することができます。

集中ブースを設置する際のチェックポイント

新しくオフィスを設計する際は、自分たちの仕事を見直す作業がとても重要です。
そして、社員の視点から働きやすい環境をつくることを忘れないことが大切です。
なぜなら、オフィスは社員の仕事をサポートする役割を担っているからです。
レイアウトは社員が行う業務の性質や活動内容に合わせて設計する必要がありますし、オフィス家具も同様に選ぶべきでしょう

本コラムでは「集中ブースがオフィスになくてはならない理由とは?」をテーマにしていますが、集中できる場所はワーカーからのニーズも高く、多くのオフィスで必要とされるスペースであることは既述の通りです。
ここでは、集中ブースを設置する際にどのようなことに注意したら良いのかについて、そのチェックポイントを3つに絞って解説します。

① 心理的に集中できる環境であるか?

集中するためにはどのような環境が必要でしょうか。
目の前の仕事に全集中で取り組まなければならないシーンでは静かな環境が必要でしょう。
あるいは、あれやこれやと頭の中でアイデアを巡らすような仕事であればリラックスした環境が必要となるでしょう。

集中しやすい環境は、仕事の内容や性質、そして人によっても違います。
それぞれのシーンを考え、心理的な配慮がなされた空間づくりをする必要があります。
言い換えれば、仕事の邪魔になる精神的ストレスを取り除き、目の前の作業に集中しやすい心理状態をつくることが重要になります。

集中することは意外に難しいことです。
人が集中状態に入るまでにおよそ23分もかかるそうです。
集中過程で、集中を妨げる出来事があれば、さらに23分を要してしまいます。
フリーアドレスやABW型のオフィスでは気が散る要素がたくさんあることを考えると、なかなか集中状態に入れないと考えられます。

そこで、集中できる環境をつくるための工夫が必要になります。
例えば、次のような工夫ができるでしょう。

  • 静かな場所と人が集う場所とでゾーニングをする
  • 話しかけられにくいレイアウトにする
  • 外部の音を遮音できるような吸音素材のパーテーションを採用する
  • 覗き込みによって集中力が途切れないようパネルの高さや角度を考える
  • 景色が見える場所に集中ブースを設ける
  • 視界に入る場所に観葉植物を配置する
  • 周囲の音を遮音しリラックス効果が期待できる環境音をバックグラウンドで流す

このように、集中を妨げる要因を排除し、集中力を高める要素を取り入れることで、精神的ストレスを低減させる工夫ができます
せっかく集中ブースを設置したものの、周囲から話し声が聞こえたり、同僚がふらふらと歩いてきて話しかけるなど、集中しにくい環境になってしまっていては元も子もありません。

② 遮音性はどの程度必要か?

遮音が必要か必要でないかと言えば当然必要です。
しかし、どれくらいの遮音性が必要なのかは、使用シーンによります。

思考力・判断力・創造力を使うような仕事ほど騒音の影響を受けやすいと言われています
頭脳労働は、集中力を必要とするからです。
例えば、企画を練る、プレゼンの資料をつくる、プログラムを組む、デザインを考案するなどといった仕事をすることが想定されるオフィスでは、騒音が届きにくい場所に、遮音されたパーソナルスペースをつくるようにします。
オフィスの設計をする段階できちんとゾーニングすることが重要になります。

また、最近ではWeb会議やウェブセミナーなど言葉を発するような場面も考えられます。
このようなシーンを想定する場合には、周囲の音を遮音するだけでなく外部への音漏れにも配慮しなければなりません。
より遮音性の高い空間が必要となるでしょう。

③ 何人の社員が利用するか?

集中ブースの利用に制限時間を設けている企業もあります。
多くの社員が利用できるようにするためにはやむを得ないことでしょう。
集中ブースを設置できる数と利用者数により決めるようにします
しかし、あくまでも社員が使いやすいような時間設定をする必要があります。
スペースを十分に確保できない場合には、サテライトオフィスを活用した柔軟な働き方を模索するようにしたいものです。

まとめ|集中ブースは企業の生産性向上につながる

今働いているオフィスでは集中して仕事をすることができていますか?
先述の日本オフィス家具協会による調査では、ワーカーは個人業務の効率性を上げるレイアウトを重要視していることが分りました。
人が集まるオフィスでは、話し声や足音などの騒音が心理的なストレスとなり集中力の妨げになります。
このようなストレスは以前から存在していましたが、顕在化させるほどの問題だとは考えられていませんでした。

日本で席を自由化したフリーアドレスオフィスが導入され始めたのは2000年代に入ってのことでしたが、それ以降、活動内容に合わせて働く場所を自ら選ぶ働き方を示すActivity Based Working(ABW)という考え方が取り入れられ、その概念が知られるようになる中で、従来の働き方を見直す企業が増えてきていました。
そして、新型コロナウイルス感染症の流行はその流れを加速度的に早くしました。

ABWの考えに基づいて設計されたオフィスは、こもって集中する、少人数でブレインストーミングをする、多人数で会議をするといったようにワーカーの活動に合わせたゾーニングがされており、どこで働くのか、誰と働くのかについてはワーカーに選択の権限が与えられています。
ある調査では、活動に合わせ空間を多く与えられているワーカーとそうではないワーカーでは、生産性に25.5%の差があることが分かっています(※)
もし、生産性向上の実現を目指しているのであれば、ABW型オフィスの導入を検討しても良いかもしれません。

しかし、現在のオフィスをAWBに基づいたレイアウトにいきなり変更するのは、大掛かりなプロジェクトとなってしまうため現実的ではありません。
そこですぐにできる実践方法として、まずは集中ブースの設置をおすすめします。
ABW型オフィスに慣れるための“予行練習”になるからです。
集中ブースはABWの考え方に基づいたオフィスレイアウトのひとつであり、かつ社内のニーズにも合った働き方だと思われます。
考えるための静かな場所が欲しい、集中して作業に取り組む場所が欲しい、Web会議をするための場所が欲しい、このような声は貴社の社員のみなさんからも聞かれる声でしょう。
その点において、オフィスに集中できる場所が存在することで、個人業務の効率性は今よりも上がるに違いありません。

社員にとって働きやすいオフィスをつくることは、社員が行っている仕事をサポートすることですから、業務パフォーマンスの向上、そして生産性の向上に繋がります。
本コラムが「社員にとって働きやすいオフィスとは?」といった視点でオフィスを見直すきっかけとなれば幸いです。

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