イノベーションが生まれるオフィスコンセプトとは?考え方や事例を解説

   
イノベーションが生まれるオフィスコンセプトとは?考え方や事例を解説

オフィスのコンセプトは、オフィス空間のデザインだけでなく、そこで仕事をする社員の働き方にも大きく影響する大切な要素です。

IT化によってスピード感が増した現代のビジネス現場では、企業として進むべきビジョンを社内で共有し、新しいモノやコトを生み出す「イノベーション」の機会が重要視されています。
これからの企業は、企業理念やミッションをコンセプトを通じて理想の働き方を提示することが必要かもしれません。

また近年では、社員が日々多くの時間を過ごすオフィスのコンセプト自体に、イノベーションの概念を与えようとする動きが高まってきています。

そこで本記事では、イノベーションを生み出すために必要なオフィスのコンセプト設定方法や、そのポイントについて詳しく解説します。

「オフィスのコンセプト」には、自社の理想の働き方を反映させよう

オフィスのリフォームや移転では、内装のデザインを考える必要があります。その際、デザインやレイアウトありきでオフィス空間を設計してしまうと、単に居心地の良い空間を構築したに過ぎないということになってしまいます。そこで、まず初めに「コンセプト」を決めてから、デザインやレイアウトを設計するという手順をおすすめします。ここでは、コンセプトの設定方法について考えてみたいと思います。

オフィスのコンセプトを決める本来の目的は、「何を活動目的としたオフィスを作りたいのか」「現在の仕事のやり方をどのように変えたいのか」といった、自社の未来や働き方を定義することです。なぜなら、ビジネスで革新的なアイデアを生むためには、それに適した環境を整える必要があり、オフィス空間こそが、その基盤となる役割を担っているからです。

少し、例を出してみましょう。
例えば、「社内の雰囲気が暗い」「社員同士のコミュニケーションが少ない」といった企業課題を抱えている会社があるとします。その原因には、人間関係や社内制度などが考えられますが、そもそも作業している環境が理想的でなければ、いくらネガティブな状況を改善しようにも限界があります。そこで、「開放的で明るく、活発なコミュニケーションが生まれる空間」をオフィスのコンセプトとして定義すれば、実際のデザインや施工までを一貫したテーマでぶれずに進めることができます。

もし「既婚者や子育て中の社員が多い」のであれば、「多様な働き方が叶うオフィス」をコンセプトに、社内にキッズスペースを設置したり、「在宅勤務者が多い」のであれば、WEB会議が行いやすいように機器類やWEB会議ツールを備えたスペースを導入したりするなどのデザイン案が考えられるでしょう。

このようにオフィスのコンセプトには、自社が理想とする働き方を反映させることが重要です。

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いつでも・どこでも・だれとでもコミュニケーションがとれる環境づくりについては「WEB会議システムで働き方改革、円滑なコミュニケーションを実現」もご参照ください。

オフィスのコンセプトで定義すべき、イノベーションを生み出すコミュニケーションとは

オフィスのコンセプトで定義すべき、イノベーションを生み出すコミュニケーションとは

近年のオフィスは、単に仕事をする場から、人が集いイノベーションを生み出すスペースへと変容しています
人手不足や不況が顕著化している日本社会の中で、生き残りをかけて邁進すべきなのは、どの企業にも共通することです。そこで昨今、成功の鍵となるキーワードが「イノベーション」です。

普段何気なく使っている「イノベーション」という言葉ですが、その本来の意味は、革新的な新しい何か(を創造する行為)を指します。ビジネスにおいては、新しいモノやコト(技術や製品、サービス)や、ビジネスに対する新しい捉え方や切り口とも言い換えられるでしょう。

そこで企業において重視すべきことの一つが、イノベーションを生み出すコミュニケーションです。なぜなら斬新的なアイデアは、多角的な視点や、他者との関わりの中で知り得た気づきによって生まれるものだからです。
そのためにオフィスは、社員同士が日常業務で交流し合う深いコミュニティだけでなく、事業部などの垣根を超えて、普段は関わりが薄い人とも積極的にコミュニケーションが取れるような環境が必要になります。
さらに言えば、コミュニケーションが活性化される環境をどのように作っていくべきかをテーマとして、オフィスのコンセプトを作る必要があるのです。

このような横断的で活発なコミュニケーションを促すためには、リフレッシュスペースやランチスペースなど、自然と人が交わる空間をつくることが効果的です。また可動式の家具を取り入れて、目的や人数に応じて最適な環境でミーティングができるフレキシブルなミーティングスペースも良いでしょう。詳しくは、後ほど事例でご紹介します。

イノベーションを生み出すためのオフィスには「個人」と「集団」それぞれに適した作業場所が必要

イノベーションを生み出すためのオフィスには「個人」と「集団」それぞれに適した作業場所が必要

前章までは、イノベーションを生むための社員同士のコミュニケーションと、それを実現させるオフィスのコンセプトの重要性について確認しました。
そこで本章では、さらに具体的に、理想的なオフィスのあり方について深掘りしていきましょう。

イノベーションは、「自分のアイデア」と「他者との意見交換」が両立して初めて生まれます。したがってオフィスには、「個人ワーク」と「グループワーク」を両立させる環境が整っていることが理想的だと考えられます。

実際に社員の日々のスケジュールは、多数の「個人ワーク」と「グループワーク」が互いに関係性を持って進められていることが大半でしょう。作業内容や目的によって、下記のように様々な業務ニーズがあるはずです。

  • 部署ミーティングはセキュリティが確保されている会議室で行いたい
  • 1人で業務に没頭するときは、集中ブースで作業したい
  • Web会議には周囲を気にせずに参加したいので、個室ブースを使いたい
  • 上司にプレゼンするときは、リラックスしながらもプライバシーが保たれるファミレス席を利用したい
  • ランチ後は眠気覚ましのために、スタンディングデスクで立ったまま作業したい

上記の例に沿うと、集中ブース・個室ブース・スタンディングデスクは「個人ワーク」、そして会議室・ファミレス席は、主に「グループワーク」に適したオフィススペースです。このように、“個”と“集団”、両者のニーズが満たされるスペースが備わっていることが理想的です。

もちろん、全てのエリアを自社で備えておく必要はありません。しかし、ここで強調したいのは、オフィスのコンセプトを考える際には「コミュニケーションの生まれやすさ」と同時に、「社内の多様なワークスタイルへの柔軟性」も念頭に置いておくべきだということです。

アイデアは「個人ワーク」と「グループワーク」の連続から形作られるものであり、オフィスにおいて双方が叶うからこそ、チームとして、あるいは企業としてのイノベーションの創出を促すことができるのです。そのためイノベーションを生むオフィスのコンセプトは「“個”と“集団”が統合した場」を実現するものでなければいけません

空間だけでなく、他部署との交流を目的とした食事には補助が出る制度など、会社として福利厚生を整備することでも、相乗効果を生むことができます。イノベーションを生むために必要な風通しの良いコミュニケーションを意識して、オフィス環境を考えましょう。

イノベーションを生み出すオフィスのコンセプト事例

それでは最後に、「“個”と“集団”が統合された」オフィスの事例を見ていきましょう。
本章では、オフィスの各スペースの機能と空間を見直す上で役立つ、イノベーション創出の概念が取り入れられたコンセプトを事例を交えてご紹介します。

① 柔軟にワークスタイルを変化させることができる空間

イノベーションを生み出すために大切なのは、個人ワークとグループワークの両立です。
例えば、固定席を設けないフリーアドレス型のレイアウトや、可動式のオフィス家具を導入するといった工夫は、「柔軟なワークスタイル」というオフィスのコンセプトの実現に繋がります。

一人になりたいときは個人の空間を、またグループワークを行うときは複数人が集まりやすいような作業空間を、いつでも手軽に用意できることが魅力です。

② 想像力が湧くクリエイティブな空間

日頃のクリエイティビティの積み重ねが大きなイノベーションに繋がるため、「クリエイティブな空間」をコンセプトにオフィスを考えることも有効なアプローチです。
アート作品が配置された刺激のある空間や、観葉植物が置かれた自然のパワーを感じる空間は、殺風景な場所よりもクリエイティブな思考を活性化させてくれます。

また素材や色彩を活用することでも、人の気持ちを高めたり、和らげたりする効果が期待できます。例えば、暖色系で彩度が高い色は、興奮感を与える効果があるとされ、ポイントで使うと思考をアクティブにしてくれます。壁紙の色を変えるなど大掛かりなものでなくとも、外の光を内部に取り入れたり、ライトの色を変えたりするなど少しの工夫でも室内の雰囲気を一新できます。

③ カジュアルなコミュニケーションが円滑になる空間

カウンター・テーブルやバーなど、人と人が集まり交流しやすい空間があるオフィスはアイデアの交換がしやすくなり、自然とイノベーションの創出を促すことに繋がります。

「カジュアルなコミュニケーション」をコンセプトにする場合は、食堂スペースにカウンターを配したオフィス事例のように、マグネットスペースを設け個人ワークでの利用はもちろん、カジュアルなグループワークにも適した空間作りを行いましょう。
様々な部署に所属する社員同士が気軽にコミュニケーション生まれる空間がベストなため、フードやドリンクを用意し、人がその場所に集まりやすい工夫があると良いでしょう。

④ ナレッジシェアを促進する回遊性のある空間

ナレッジシェア(知識共有)も、イノベーションを生み出すうえでは大切な要素です。個人が持つ知識を、その組織に所属する全体に対して共有することで、業務に関わる専門性が全体として高まり、組織のレベルアップが期待できます。
「ナレッジシェア」をコンセプトに据える場合は、空間を広くとり固定席を設けずに、対話が生まれやすい回遊性のある空間作りがおすすめです。

⑤ グループディスカッションを活性化できる空間

「グループワークの活性化」を主な課題としている場合は、対面のデスクの配置し、ディスカッションがしやすい空間作りを行いましょう。彩り豊かな内装はリラックスして発言しやすい場を生み出す点において効果的です。またテーブルや椅子にはキャスターがあるため、自由自在に組み合わせて好きな形式をとりやすいことも、ディスカッションに向いているつくりといえるでしょう。

まとめ|経営に生かすオフィスのコンセプトづくりを

オフィスは近年、単に仕事をする場所から、人が集い、イノベーションを生み出す場所に変容しています。オフィスのコンセプトに自社の理想の働き方を定義し、トップダウンで自社のワークスペースを変えていくことは、コスト(家賃)という考えから、経営資源として利益を生む場に変えていくための第一歩です。
そのため、ビジネスの成長に繋がるイノベーションの創出をテーマに「“個”と“集団”の統合」を意識した空間作りを行いましょう。この記事が、少しでもお役に立てましたら幸いです。

 

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