社内コミュニケーションを活性化させるオフィス環境とは?ポイントや事例について解説

   
社内コミュニケーションを活性化させるオフィス環境とは?ポイントや事例について解説

近年、海外のカフェをテーマとしたような広々としたオフィスを目にすることが多くなりました。果たして、このようなトレンドの背景には、どういった理由があるのでしょうか?デザイン性、あるいは利便性を求めた結果でしょうか?

実は、このようなスペースが作られるようになった背景には、働き方の多様化が大きく関与しています。

日本オフィス家具協会 (JOIFA)が実施した「企業ヒアリング報告書」によると、「オフィスで重視しているポイント」として、「コミュニケ―ション」が全体の約4分の1を占め、社員同士の交流を重視する企業・ワーカーが多いことがわかりました

JOIFA 企業ヒアリング報告書 オフィスで重視しているポイント

「企業ヒアリング報告書」日本オフィス家具協会(JOIFA)

このような意識の変化から、社内コミュニケーションに重点を置いたオフィス環境作りのニーズが高まっていると言うことができます。

今回の記事では、ワークスタイルの変化で注目を集めるようになった、コミュニケーション活性化に繋がるオフィスの空間作りについてご紹介します。

コミュニケーション重視のオフィスはなぜ必要なのか?

働く人が1日の大半を過ごすオフィス環境に求められることは、時代の流れとともに変化していきます。

近年のオフィス環境には、具体的にどのような変化が起きているのでしょうか。
本章では、時代の変遷と、働き方・コミュニケーションの変化という2つの観点から、今求められているオフィス像を考えていきたいと思います。

時代に沿った働き方とオフィス環境の変革

オフィスレイアウト 島型
オフィスレイアウト フリーアドレス

一般的に「オフィス」と聞くと写真左のようなデスク風景を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。こちらは従来からある「島型(対向型)」と呼ばれる、オフィスのスタンダードなレイアウトです。

しかし最近では島型のレイアウトだけでなく、より広々と空間を活用し、自由に座る席を選ぶことができる写真右の「フリーアドレス」タイプのワークスペースを選ぶ企業も増えてきました。また集中ブースやリラックススペースといった今までにない環境を整える企業もあります。

このようなオフィス環境の変化は、なぜ起きたのでしょうか。時代背景・働き方・オフィス環境がお互いにどのように影響を与え合っているかを考えるために、従来と近年の変化を表にまとめました。

時代背景 働き方 オフィス環境
従来
(大正〜昭和)
  • 高度経済成長期
  • 終身雇用制
  • 長時間労働
  • 部門制
  • 年功序列
  • 対向島型デスク
  • 接待重視の応接室・会議室
近年
(平成〜令和)
  • IT化
  • 働き方改革
  • 残業禁止、業務効率化
  • 働き方の多様化(女性の社会進出、リモートワーク推進)
  • コミュニケーション重視
  • フリーアドレス
  • 従業員満足度重視のリフレッシュスペース

このようにオフィス空間において重視される用途は、働き方の影響を大きく受けます。そのため社会と働き方の移り変わりにより、従来には無かった機能やスペースが近年のオフィスでは強く求められています。

働き方の変化によるコミュニケーションの変化

働き方の変化によるコミュニケーションの変化

以前は、単一部門の中で仕事を割り振り進める部門制で仕事を進めることが多く、その中での情報や進捗状況の共有が重要視されていました。
そのため、目線を上げるだけで両隣や対面の人と確認ができる島型のデスク配置は、仕事を効率よく進めるために適していたのです。

ところが、ネット環境が普及したことで、ワークスタイルにも変化が起きました。
必ずしも同じ空間を共有しなくても、オンラインで会議を行なったり、チャットツールで進捗状況をリアルタイムで共有できるようになったのです。

また最近は、部門という大きな集団から、よりスピーディー、フレキシブルにプロジェクト単位で仕事が進む傾向にあり、より小さなグループや個人へと活動の中心が移ってきました。

加えて新たなビジネスアイディアを生むために、他部署との連携が必要となることも増えてきたため、部門を超えたコミュニケーションの機会が必要とされるようになったのです。

今、求められているオフィス環境とは

今、求められているオフィス環境とは

従来のオフィスレイアウトは、同じ部門間では情報共有はスムーズですが、部門内に情報が留まりやすいという問題があります。

更に近年は、IT化によりビジネスのスピードが加速し、社内の様々なナレッジを掛け合わせたコラボレーションや、社外のエキスパートとの共同開発など、従来の空間仕様では、対応仕切れないケースが増えてきました。

こうした働き方・コミュニケーションの変化によって、快適なオフィスの定義も時代とともに変化してきたのです。そして常に変化するビジネスシーンで、今求められているのは、現在の働き方に合った、社内外のメンバーと横断的にコミュニケーションが取れるオフィスと言えるでしょう。

コミュニケーションが活性化するオフィスのメリット

企業が社内コミュニケーションの活性化を図ることで得られるメリットは数多くあります。本章では、どのようなメリットがあるか具体的にご紹介します。

他部署の業務内容に触れるきっかけとなり、会社の動向を把握しやすく

他部署の社員と多く関りを持つことによって、自身の領域ではない業務内容にも触れ合う機会が生まれます。これにより新たな知識となってインプットされ、自身の業務に生かすきっかけとなる可能性もあります。

さらに、数年ごとに部署移動がある企業も多くあります。このようなときに、他部署の事情を少しでも知っておくことによってスムーズに新らしい部署の業務にとりかかることができます。

離職率が低下し、社員が定着しやすくなる

現日本は労働人口が減少しており、深刻な人手不足に陥っている企業も存在します。そのような中、社員の離職率を低下させ、社員の定着を図ることは重要な企業課題でもあります。

社員が退社をする原因は「人間関係の悩み・不満」が最も多くなっています。日頃、同僚や上司と密にコミュニケーションをとることができる環境であれば、職場での相談が比較的容易になり、社員の離職に歯止めを欠けることにつながります
オフィスでのコミュニケーションを活性化させることで、良好な人間関係を気付くきっかけとなり、業務へのモチベーション向上にもつながるかもしれません。

以上のようにコミュニケーションに特化させるオフィスを作ることで、社員にとっても企業にとっても大きなメリットをもたらしてくれます。

そのためにも、まずは企業にとってどのようなコンセプトでオフィスを変えていくのかを定める必要があります。
機能が働くオフィスを作るために「印象と働き方をデザイン。オフィスのコンセプトづくりの3つの手法」もぜひご覧ください。

課題別のコミュニケーション活性化策

コミュニケ―ションを活性化するためには、具体的にどのような施策が必要なのでしょうか。
コミュニケーションが必要となる場面や場所は様々考えられるため、具体的な状況と解決のためのスペース活用案をご紹介します。
交流不足が起因となって起きる課題を明確化し、必要な環境を整えましょう

状況・課題 対策
部署を横断したコミュニケーション機会の促進 自由に席を選択することができるフリーアドレス型のワークスペース
部門外のメンバーとの打ち合わせ機会増加 予約不要で使用できるオープンなミーティングスペース
社員増加による交流不足 社内行事で大人数が集まることのできるフリースペース
社員が打ち解けられる環境作り カジュアルな交流が楽しめるリフレッシュスペース
来客者が落ち着くことのできる環境作り カフェ風の落ち着いたミーティングスペース

コミュニケーションを促すオフィススペース事例

続いてオフィスに新たなスペースを設けることで、コミュニケーションを促す場作りをされている企業事例をご紹介します。既存のオフィスにパーテーションや家具を導入することによってこのような交流の場を作ることも可能です。ぜひ参考にしてみてください。

1. フリーアドレス型のワークスペース

広々としたフリーアドレス型のスペースで、チームメンバーとのミーティングも、個人作業も行うことができます。毎日異なる席に座るため、様々な部署の人との交流を自然に促すことができます。

2. 予約不要で使用できるオープンなミーティングスペース

島型のデスクレイアウトを基本としながらも、新しい働き方に合わせて社員が気軽に会話ができるソファー席も、コミュニケーション活性化に最適です。オープンな環境で、他部署とのプロジェクトもスピーディーに進めることができ、業務の効率化にも繋がります。

3. 社内行事で大人数が集まることのできるフリースペース

ミーティングルームにレイアウト変更可能なスライディングウォールを導入し、様々な用途で使用できる空間に仕上げました。広さを可変できるため、チーム単位の会議からセミナー、社内行事と幅広く活用できます。

4. カジュアルな交流が楽しめるリフレッシュスペース

休憩スペースに、ピンポン台とワークテーブルの2つの機能を兼ね備えたユニークな家具を配置。仕事の合間のリフレッシュタイムとして、社員同士が気軽に交流を楽しむことができるようになりました。

5. カフェ風の落ち着いたミーティングスペース

くつろげるオシャレなカフェをコンセプトに作られたミーティングスペースは、オフィスに初めて訪れる来客者の方でも落ち着くことのできる空間に仕上がっています。
リラックスしたコミュニケーションの場を演出するために、落ち着いたトーンのインテリアの選定やグリーンの導入は効果的です。

社員同士のコミュニケーションが生まれるオフィスを作る際の注意点

社内のコミュニケーションを活性化させる方法として、フリーアドレス制度やフリースペースの導入があります。しかし、コミュニケーションを重視するにあたって忘れてはならない点もあります。

集中ブースも忘れずに設置する

社内コミュニケーションを活性化させるにあたり、パーソナルスペースの設置も同時に行うことが効果的です。

コミュニケーションを重視するということは、その分、プライベートな空間がなくなるとことも意味します。他の社員の言動が今まで以上に情報として入ってくるようになった結果、かえって作業に集中できなくなってしまう社員がでてしまっては本末転倒です。集中ブースも同時に設置することで、パーソナルな空間の確保、さらには仕事に集中するためだけの環境を整えることができます。

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集中ブースがオフィスになくてはならない理由と具体的な3つの作成方法」では集中ブースを設置するために欠かせない事柄について詳しく紹介しています。ぜひ、合わせてご覧ください。

セキュリティ対策を欠かさない

社員が社内を自由に動くことのできる環境では、機密情報などの保護にしっかりと努めなければなりません。コミュニケーションがとりやすい設計のオフィスでは、近くの会話などは当然聞き取りやすくなっています。したがって、思わぬところから情報漏洩につながることも予想されます。

機密情報を含んだ会話はフリーアドレスデスクやフリースペースではなるべく避け、書類の管理は鍵がかかるロッカーの使用を心がけましょう。

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オフィスのセキュリティを強化すべき理由とすぐにできる対策4ステップ」にて詳しく解説しています。ぜひ、合わせてご確認ください。

まとめ|コミュニケーション活性化は、オフィス環境から

働き方の変化に伴うコミュニケーションスタイルの変化により、オフィスにもアップデートが求められています。現在のコミュニケーション課題を把握し、解決に繋がるオフィス空間を考えることが大切です。

  • フリーアドレス型のワークスペース
  • オープンなミーティングスペース
  • 社内行事にも便利なフリースペース
  • 交流のきっかけとなるリフレッシュスペース
  • カフェ風のミーティングスペース

オフィスの環境作りから、コミュニケーションの活性化を図りましょう。

 

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