オフィスに快適な休憩室を設けると、企業経営においてさまざまなメリットが得られることは意外に知られていないかもしれません。
しかし、オフィスの移転やリニューアルの際に休憩室を新たに設置する場合、ただスペースを作るだけでは不十分です。
休憩室はいくつかのポイントを押さえてレイアウトし、さらに社員が積極的に利用したくなるような工夫を凝らす必要があります。
この記事では、オフィスの休憩室の設置メリットとレイアウトのポイントに加えて、利用率を高めるアイデアと成功事例について詳しく解説します。
オフィスの休憩室とは?
オフィスにおける休憩室は、社員が業務の合間に一時的な休憩を取り、心身をリフレッシュするための空間です。
社員同士の交流や、軽食をとるスペースとして活用されています。
休憩室の設置は、労働安全衛生規則第613条において「努力義務」とされています。
ただし、著しい暑さや寒さだったり、有害なガスを発散したりする作業場においては「設置義務」が生じるため、注意が必要です。
休憩室と混同されやすいものに「休養室」があります。
これは事務所衛生基準規則第21条と労働安全衛生規則第618条にもとづき、「常時50名以上」または「女性30名以上」の労働者がいる事業者に設置が義務付けられている、横になれる設備(ベッドなど)備えた男女別のスペースです。
なお、休養室は「体調不良の社員が、回復のために横になって静かに休むこと」を目的としています。
リフレッシュを目的とする休憩室とは用途が大きく異なるために、基本的には休養室と兼用にすべきではないといえるでしょう。
オフィスの休憩室の設置メリット
オフィスの休憩室設置は努力義務ですが、設置することで社員と企業の双方にさまざまなメリットをもたらします。
ここでは、オフィスの休憩室の設置メリットについて解説します。
社員の集中力を回復し、生産性を向上させる
オフィスの休憩室の設置メリットとして、社員の集中力を回復し、生産性を向上させることが挙げられます。
デスクから離れて適度な休憩を挟むことで、脳や眼の疲労をリセットすることができるでしょう。
また、執務室から完全に離れた空間へ移動して休憩することで、自律神経の「副交感神経」が優位になり、より深くリラックス効果を得られます。
結果として、休憩後の業務への集中力が高まり、組織全体の生産性向上につながります。
コミュニケーションを活性化させる
社員間のコミュニケーションを活性化させることも、オフィスに休憩室を設置するメリットといえるでしょう。
休憩室に集まった社員同士がカジュアルな雑談を交わすことで、社内の心理的安全性が高まり、チームの一体感が生まれやすくなります。
また、普段は関わりの少ない他部署の社員と偶然出会うきっかけにもなり、部署の垣根を越えたコラボレーションや業務効率化に役立つ可能性もあります。
社員の従業員満足度と帰属意識を高める
休憩室の設置によるオフィス環境の充実は、社員の従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)の向上に直結します。
「社員の働きやすさを大切にしてくれる」と社員が実感できれば、企業への帰属意識(エンゲージメント)が高まり、モチベーションの向上や離職率の低下が期待できます。
アイデア創出を促す
オフィスに休憩室を設けるメリットとして、社員のアイデア創出を促せることが挙げられるでしょう。
優れたアイデアは「4B(Bar、Bathroom、Bed、Bus)」というリラックスできる場所で生まれやすいとされています。
リラックスした雰囲気の休憩室は、まさにこの「4B」に近い状態を作り出せる空間です。
デスクで集中して業務しているときには思い浮かばなかったアイデアがふとした瞬間に生まれることも少なくありません。
ウェルビーイング経営につながる
オフィスに休憩室を設置すると、ウェルビーイング経営につながることもメリットといえるでしょう。
ウェルビーイングとは「身体的・精神的・社会的に満たされた良好な状態」を意味します。
オフィスにおしゃれな休憩室を設け、社員がいきいきと働ける職場環境を整えることは、まさに、ウェルビーイング経営の体現です。
これを社外にアピールすることで、企業のブランディングや優秀な人材獲得などの副次的効果も期待できるかもしれません。
企業ブランディングに貢献する
社内外に対する「企業ブランディング」の強化につながる点も、オフィスにおける休憩室の設置メリットです。
例えば、コーポレートカラーを配したおしゃれで快適な休憩室の存在をコーポレートサイトや採用SNSで発信すれば、社外には「社員の働きやすさを重視している」「従業員のエンゲージメントを重視している企業」と好印象を与えることができます。
このような発信が、優秀な人材の採用に対して良い効果をもたらすことも十分考えられるのです。
オフィスの休憩室レイアウトのポイント
高い効果を発揮する休憩室を作るためには、設計段階での戦略的なレイアウトが欠かせません。
ここでは、オフィス休憩室を設計する際に押さえておきたい4つのレイアウトのポイントについて解説します。
現状の課題や社員のニーズを把握する
現状の課題や社員のニーズを把握することは、オフィス休憩室のレイアウトを行う際のポイントといえます。
まずは、「既存の休憩スペースが狭くて使いにくい」「自席以外でランチを食べられる場所がない」といった現状の課題を洗い出しましょう。
そのうえで、アンケートやヒアリングなどを通じて、「どのような設備が欲しいか」という社員のニーズを吸い上げます。
レイアウトに当事者の声を反映することで、社員にとって利用率が高く、満足度の高い休憩室が完成します。
休憩室の位置を執務室から遠ざける
オフィス休憩室は、できる限り執務室から離れた位置、または明確に仕切られた場所に配置するのが鉄則です。
執務室との距離が近すぎると、電話の呼び出し音や会議の声が響いて落ち着いて休むことができません。
また、休憩室のにぎやかな話し声が執務室に届いて、業務中の社員の集中力を削いでしまうリスクも防げます。
休憩室設置の目的を達成するためにも、休憩室は執務室とできる限り距離を取りましょう。
スペースを十分に確保する
スペースを十分に確保することも、オフィス休憩室のレイアウトのポイントに挙げられます。
狭すぎて常に混雑している休憩室では、社員が十分にリフレッシュすることができません。
オフィス全体のスペース配分との兼ね合いもありますが、できる限り開放感のあるレイアウトを心掛けましょう。
同時に、利用する社員数を想定し、配置するオフィス家具や設備の間隔、動線にもゆとりを持たせることが大切です。
家具・設備は目的に合ったものを選ぶ
オフィス休憩室のレイアウトの際には、「休憩室で社員にどう過ごしてほしいか」という目的に応じて、設置するオフィス家具や設備を選定します。
例えば、社員間のコミュニケーション活性化を目的とするならば、カフェ風の丸テーブル、ハイカウンター、スツール、コーヒーサーバーなどを導入し、カジュアルに話しやすい内装にします。
もし「社員にリラックスしてほしい」と考える場合は、体を包み込むソファや調光可能な関節照明、落ち着いたトーンの壁紙などを組み合わせ、ホテルのラウンジのようにコーディネートします。
オフィスの休憩室の利用率を高めるアイデア
せっかく費用とスペースを投じてオフィスに休憩室を設けるからには、社員に使われなければ意味がありません。
ここでは、オフィス休憩室の利用率を高めるアイデアについて紹介します。
執務室と隔絶した雰囲気にする
オフィス休憩室の利用率を高めるアイデアのひとつに、執務室と隔絶した雰囲気にすることが挙げられます。
同じオフィスの中でも執務室と休憩室で家具のデザインや内装をガラリと変えることで、社員のオン・オフの切り替えを促します。
執務室が白を基調とした機能的で明るい空間であれば、休憩室は木目調の家具やオフィスグリーン(観葉植物)を多用し、照明を少し落として温かみのある電球色にするのが効果的です。
イベントなどでも使用できるようにする
イベントなどでも使用できるようにするのは、オフィス休憩室の利用率を高めるアイデアです。
「誰もが気軽に立ち寄れる場所」として認知してもらうために、社内イベントの会場としても活用します。
例えば、社員同士のコミュニケーション活性化を促すための懇親会や新製品・サービスの社内お披露目会、カジュアルなワークショップなどを開催できるよう、移動が簡単なキャスター付きの椅子や、折り畳み可能なテーブルを採用するのがおすすめです。
利用時のルールを設けて周知する
全員が快適に過ごせるよう、利用時のルールを設けて周知することは、オフィスの休憩室をよく利用してもらうためのアイデアといえます。
具体的には、利用可能な時間帯、ゴミの分別や清掃のルール、声量の目安、飲食の制限、設備の片付けなどについて明確にしておきましょう。
ルールを設けることで、「汚れていて使いたくない」「大声で騒ぐ人がいて休めない」といったトラブルを防ぎ、社員がリラックスできる空間の維持にもつながります。
カフェスペースや給湯設備を設置する
休憩室にカフェスペースや給湯設備を設置するのは、利用率を高める効果的なアイデアといえるでしょう。
カフェのように居心地の良い家具やウォーターサーバーやコーヒーマシン、お菓子の自動販売機などを設置し、自然と人が集まる「マグネットスペース」として機能させます。
休憩室にお茶を淹れる目的でふらっと立ち寄った社員同士の雑談から、思いもよらないビジネスアイデアが生まれることもあります。
軽いミーティングなどでも活用できるようにする
オフィス休憩室を軽いミーティングなどでも活用できるようにするのは、利用率を高めるアイデアです。
会議室を確保するようなかしこまった会議ではなく、チームでざっくばらんなアイデア出しをしたいときなどに休憩室を使えれば、利用者は増えるでしょう。
休憩室でのミーティング利用も考慮に入れる場合には、カジュアルに話し合いしやすいファミレス席(ボックスソファ席)を設置することをおすすめします。
ただし、一人で静かに休憩している社員の妨げにならないように、配置上の工夫を忘れないようにしたいところです。
一人でも休憩できる場所を設ける
オフィス休憩室の利用率を高めるには、一人でも休憩できる場所を設けることも、アイデアのひとつといえます。
休憩室でにぎやかに談笑したい社員がいる一方で、誰にも邪魔されずに一人で静かに物思いにふけたい社員もいます。
具体的には、窓の外の景色を眺められる外向きのカウンター席やパーテーションで視線を遮った半個室型のパーソナルスペースを数席用意しておくと、社員の多様なニーズに応えることが可能です。
オフィスの休憩室の成功事例
オフィスの休憩室に関しては実際の成功事例を見ることで、よりイメージしやすくなるかもしれません。
ここでは、オフィスの休憩室を設けて成功している事例についてご紹介します。
オフィス内に設けられたリバーサイドカフェのような休憩室
以前のオフィスでは「休憩室がなく、自席で食事を取るしかない」という課題を抱えていました。
そこで新オフィスへの移転を機に、自社の水門事業にちなんで、「リバーサイドカフェ」をコンセプトにした休憩室を設置。
明るい木目調の家具やオフィスグリーンを効果的に活用し、社員がリラックスできる開放的な空間を構築しています。
L字型のスペースを活かして社員がリラックスできる場所を
「社員が快適に働ける環境」を構築するため、オフィスリニューアル実施時に休憩室を設けた事例です。
休憩室は社員の「ちょっとした雑談やランチに使える場所が欲しい」という社員の声を反映し、執務室の奥にあったL字型スペースを有効活用しています。
社員が自然に集まりやすく、またオン・オフの切り替えに役立っていると好評です。
焚き火エリアやプライベートルームが設けられた「普通じゃない休憩室」
「普通じゃないオフィス」をコンセプトとしたオフィスの移転事例です。
野外キャンプ場を彷彿させる「焚き火エリア(フェイク)」を中央に配した個性的な休憩スペースでは、気軽な雑談やブレイクタイムに活用されています。
さらに、ミーティング可能なファミレス席や、マッサージチェアを完備した男女別の完全プライベートルームも併設しています。
オフィスの休憩室に関する相談は専門業者へ
オフィスの休憩室は、単に休むための場所にとどまらず、社員の生産性向上、コミュニケーション活性化、さらには採用力強化を狙う企業ブランディングにまで大きな効果を発揮します。
オフィスのリニューアルや移転に伴って、限られたオフィス空間の中で利用率の高い魅力的な休憩室を設けるには、動線設計やコンセプト設計など、利用率を高めるためのさまざまな工夫が求められます。
オフィスの移転やリニューアルに伴い、休憩室の設置をご検討の際は、実績豊富な専門業者へ相談することをおすすめします。
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