オフィスはどう設計する？レイアウトのポイントと10の設計事例

企業が新たなオフィスを設計するときには、社員の帰属意識向上やブランディング効果を期待するかもしれません。
しかし、「おしゃれなオフィス」をつくろうと思うばかりに機能性を損ない、社員にとって使いにくいオフィスになっては意味がありません。
オフィス設計の際には、専門業者とよく相談し、ポイントを押さえながら手順に沿って行う必要があります。

ここでは、企業がおしゃれで機能的なオフィスを設計するメリットと設計に失敗しないためのポイントについて解説。
また、設計事例と設計時の注意点についてご紹介します。

おしゃれで機能的なオフィスの設計とは？

オフィスの設計には、明確なコンセプトや目的のもとで、オフィスのゾーニング・レイアウトやオフィス 家具の設置場所などの最適化が不可欠です。
設計の際には、単にデザイン性だけでなく、社員の働きやす さや過ごす場所としての快適性を重視する必要があります。

コロナ禍が落ち着きを見せ、近年はオフィス回帰の動きがあり、毎日のように出社する人が増えています。
一方、テレワークや業務内容に応じて働く場所を自由に選ぶ「ABW」などの新しい働き方の制度を活用し、 たまにしか出社しない社員がいるのも事実です。
これらの多様な働き方の社員が混ざり合うからこそ、オ フィスの設計はこれまで以上に重要性を増しているのです。

おしゃれで機能的なオフィスを設計するメリット

おしゃれで機能的なオフィスを設計することによって得られる、具体的なメリットについても知りたいと ころです。
ここでは、おしゃれで機能的なオフィス設計のメリットについて解説します。

生産性の向上

生産性の向上は、企業がデザイン性と機能性を併せ持ったオフィスを設計するメリットのひとつとして挙 げられます。
おしゃれなオフィスで働くことで、そこで働く社員の創造性が刺激され、新規事業に関する アイデアや業務改善案が次々に生まれる可能性があります。

また、機能性を重視して設計されたオフィスであれば、社員は無駄なく効率的に業務に取り組めるだけで なく、騒音や空調などの面でストレスを溜めることも少なくなるでしょう。

コミュニケーションの活性化

社員間のコミュニケーションの活性化も、企業がおしゃれで機能的なオフィスを設計するメリットといえるでしょう。
コミュニケーションがさかんなオフィスは、社員の心理的安全性や働きやすさを高めます。

オフィスのデスクやオフィス家具のレイアウトを工夫したり、社員が自然と集まるマグネットスペースを 設けたりすれば、コミュニケーションの活性化が期待できます。
場合によっては、普段接点のない社員同 士の偶然的な接点が、思わぬ化学反応を生み出すかもしれません。

帰属意識やモチベーションの向上

オフィスをおしゃれで機能的な設計にすることで、社員の帰属意識を高められるのもメリットといえます。
具体的には、自社の製品・サービスやコーポレートカラーをオフィスの各所に反映させたり、機能的で使 いやすいレイアウトにしたりすることが挙げられます。

これらによって、社員はこの会社で働くことに意義や誇りを感じ、さらに「これからもこの会社で頑張ろ う」とモチベーションを高める効果が期待できるのです。

企業ブランディングの実現

企業がおしゃれで機能的なオフィスを設計するメリットに、企業ブランディングの実現があります。
企業ブランディングは、企業が顧客や取引先、株主などのステークホルダーに企業独自の価値や理念など を認識してもらうことです。

内装にコーポレートカラーを取り入れた設計にしたり、おしゃれで機能的なレイアウトが施されたオフィ スをWebサイトやSNSで発信したりすることにも効果を発揮します。
これにより、オフィスのデザイン 性や働きやすさを重視する人材層にリーチでき、採用活動に貢献する可能性もあるでしょう。

【規模別】おしゃれで機能的なオフィスの10の設計事例

デザイン性と機能性を両立させたオフィスは、設計事例を見て参考にするのが最適です。
ここでは、おし ゃれで機能的なオフィスの設計事例について規模別にご紹介します。

【大規模事例1】フリーアドレスと居場所となるスペースを両立

「若者に選ばれるオフィス」へのリニューアルを目的として、オフィスを設計した事例です。
具体的には、 フリーアドレス制の導入で自由度の高い働き方を実現しながら、配線や私物を見えなくする設計の徹底に よって、整然とした空間を誕生させています。
半個室のソファ席など、社員の居場所となるようなスペー スも点在させているのが特徴です。

【大規模事例2】壁をなくしてコミュニケーションを促すつくりに

オフィスにおいて、社員間のコミュニケーションの希薄さやデスク周辺の煩雑さといった課題を抱えてい た事例です。
改修工事を機に、執務室は間仕切りを最小限とするなどによって、オープンコミュニケーシ ョンが促進される環境を実現しました。
また、リフレッシュスペースにも冷蔵庫や本棚などを中央に配置 して自然と人が集まるような工夫がされています。

【大規模事例3】床や壁などの色のバランスを考慮しながらオフィス家具を提案

敷地内に新たに建設された建屋の食堂や会議室などに関して、オフィス家具のプランニングを行った事例 です。
新たな食堂は、木目調の床とオレンジの柱のほか、レンガ調のクロスが特徴的な空間になっていま す。
そこで、当社は既存の家具とのバランスも考慮しながら、ベージュ・アイボリーの同系色でまとめた 円形ソファや、白い丸テーブルを選定・設置しました。

【中規模事例1】社員食堂を再設計して多目的のマグネットスペースに

社員食堂の利用率アップを目的として、会議やセミナーなどにも使える多目的空間へのリニューアルを図 った事例です。
具体的には、いつでもレイアウト変更ができるキャスター付きのテーブルをメインに配置。
また、一人での作業・休憩に適した半個室型ハイバックソファを導入したり、ファミレス席・カウンター 席などを設置したりすることで、マグネットスペースの役割も果たしています。

【中規模事例2】海外からの来客を居酒屋風カウンター席でおもてなし

社員増に伴う内装リニューアルでは「海外からの来客が多い」という声に対応できるスペースを構築しま した。
居酒屋のカウンター席に見立てた新設の飲食スペースは、来客との商談やおもてなしのスペースと して活用されています。
また、執務室内に造作家具として一から制作した東屋風ソファブースも、見た目 がかわいらしいと好評です。

【中規模事例3】色のトーンバランスも配慮したシックでかっこいいオフィス

オフィス移転にあたって目指したのは「採用にも効く、かっこいいオフィス」。
グレー×ブラック×木目調 の3色基調のオフィスは、天井から床に至るまで色のトーンバランスが考えられた設計となっています。
設計上は障害となる耐震補強用の柱も、発想を転換し間仕切りとして活かすなど、余計なデッドスペース を生まない、工夫を凝らしたレイアウトを行いました。

【小規模事例1】ブランド価値を高めるための印象的なエントランス

「美しいオフィスのデザインは会社のブランド価値を高める」というコンセプトの下、お客様の信頼感醸 成と社員のモチベーション向上を目的としたリニューアル例です。
改装前のオフィスにはなかった専用エ ントランスは、グレー×ブラックに、コーポレートカラーの赤を差し色として入れた印象的なデザインに 仕上げました。
発光する立体的な会社ロゴも設置し、来訪者に強いインパクトを与えます。

【小規模事例2】ホテルのラウンジのような重厚感あふれるオフィスを設計

「一般的な事務所ではなく、ホテルのラウンジを意識した空間を」というニーズに応えた設計事例です。
エントランスにはレンガ調の素材を使用、什器もブラック×木目調でそろえ、照明には温かみのある電球 色を採用し、ラウンジ感を演出しています。
このほか、無垢の一枚板のダイニングテーブルをレイアウト した会議室も注目のポイントといえるでしょう。

【小規模事例3】大きな窓とキッズコーナーで「入りやすい不動産販売店」を実現

不動産仲介・売買を行う店舗兼オフィスの設計において重視したのは「入店しやすさ」でした。
具体的に は店舗の中を見やすいガラス壁の外装を採用したこと、入口脇には子連れでも安心して入れるよう、キッ ズコーナーを新設したことが挙げられます。
また、不動産業として新たな住まいをイメージしやすいよう に、床面や天井などの素材にこだわっているのもポイントといえるでしょう。

【小規模事例4】「富士山」を表現したデザイン性の高い空間ながら利便性も充実

新富士駅構内のコワーキングスペース「WORX新富士」の施工事例です。
最大の特徴は空間内に「富士山」 を表現すること。
躯体の支柱をヒノキで覆い、かつ天井から「逆さ富士」をモチーフにした木材を組み上 げた造作物を設置しました。
また、一人で作業を行える集中ブースと複数人で利用できるソファブースを 完備するなど、デザイン性と利便性の両立を図っています。

おしゃれで機能的なオフィスの設計で失敗しないためのポイント

おしゃれで機能的なオフィスの設計は、会社にとって大きなプロジェクトです。
できる限り失敗は避けた いと考えるのが当然でしょう。
ここでは、おしゃれで機能的なオフィスを設計する際、失敗しないための ポイントについて解説します。

社員にヒアリングやアンケートを行う

現状のオフィスにおけるデザイン性や機能性の課題をあぶり出すためには、実際に現場で働く社員の声を 集めるのが最適です。
社員が業務中に感じた不便さや理想とするおしゃれなオフィスイメージを集めるこ とで、浮かび上がってくるものがあるはずです。

できる限り複数名の社員にヒアリングを行ったり、社内アンケートを実施したりしてください。
「どのよう なオフィスにしたいのか」「どんなオフィスなら働きやすいと感じるのか」といった意見を集約し、オフィ ス設計に活かしましょう。

明確なコンセプトを定める

おしゃれで機能的なオフィスづくりには、明確なコンセプトが必要です。
社員からの声も参考にしながら、 納得感のあるコンセプトを決定しましょう。

ただし、社員の多様な要望に引っ張られすぎると、かえってコンセプトを定められなくなる可能性があり ます。

自社の実情に合った最適なゾーニング・レイアウトを行う

オフィス設計の成否において極めて重要なのが、ゾーニングやレイアウトです。
このときに「おしゃれな オフィス」を優先しすぎると、自社の実務にマッチしない、使い勝手の悪いオフィスができあがってしま います。

自社の規模や社員数、社員の働き方などを踏まえながら、最適なゾーニングとレイアウトを行いましょう。
将来像を考慮しながら、柔軟性・拡張性のある設計をしておくと安心です。

オフィス設計の手順とポイント

設計を成功させ、おしゃれで機能的なオフィスを実現するには、どのようなステップを踏めばいいのでし ょうか。
実際にオフィスの設計を行う際には、下記のような手順が一般的です。

手順において重要なのは、専門業者の選び方です。
豊富な知見と設計・施工実績を持つ業者を選ぶ際には、 過去の設計事例を見ながら自社の課題などについて気軽に相談できる業者を探しましょう。

オフィスの執務スペースのレイアウト

オフィスの執務スペースのレイアウトには、いくつかの型があることを知っておきましょう。
下記のよう なレイアウトの型があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

オフィス設計におけるエリアごとのポイント

オフィスの執務スペース以外の設計については、エリアごとに押さえておきたいポイントがあります。
こ こでは、オフィス設計におけるエリアごとのポイントについて解説します。

オフィスエントランス

オフィスエントランスは、来訪者が最初に目にする「オフィスの顔」ともいえる重要な場所です。
企業ブ ランディングを意識してブランドロゴやコーポレートカラーをあしらったり、間接照明を効果的に使った りと第一印象を良いものにするための工夫が必要といえます。

とはいえ、執務スペースや応接室とアンバランスなエントランスは、かえって違和感を与えかねません。
オフィス全体の調和を大切にしつつ、座り心地の良いソファなどを設置して来訪者に「おもてなし」の心 が伝わるように設計し、少しでも自社への好印象を持ってもらえるように心掛けます。

会議室・応接室

会議室と応接室の設計において重要なのは、用途や利用人数に応じた広さを確保し、それらにマッチした 内装に仕上げることです。

例えば、応接室は来訪者のおもてなしの場であるため、空間にゆとりを持たせ、高級感のある落ち着いた デザインの家具を設置しましょう。
反対に、社内での使用が主目的の会議室は、装飾を排したシンプルな デザインに徹します。
ホワイトボードやプロジェクターを設置するなど、会議に必要な設備は欠かさない ようにしてください。

リフレッシュスペース

リフレッシュスペースは、働きやすい職場づくりの面から、近年のオフィスで重視されることの多いスペ ースです。
オフィスの一画には、社員が業務の合間にリフレッシュしたり、社員同士でコミュニケーショ ンを図ったりできる空間を構築したいところです。

具体的には、リラックスできるソファやオフィスグリーンを設けることが挙げられます。
給湯設備を併設 したカフェスペースなどを設置するケースも見られます。

集中スペース

オフィス設計の際には、業務に集中したい社員が利用できる集中スペースも確保しましょう。
共有部の一 部を置き型のパーティションで区切ったり、天井まで覆われた個室ブースを設置したりすることで、業務 に集中して取り組む環境を構築できます。

集中力が必要な業務が多い部署があったり、フリーアドレス制を導入していたりするオフィスにおいては、 集中スペースは特に効果を発揮します。

社長室・役員室

社長室・役員室といった役員用のスペースにおいて重要なのは、セキュリティの確保です。
オフィスの設 計時には、ゾーニングに注意する必要があるでしょう。
機密情報を多く取り扱う場合には、来訪者や一般 社員が立ち入りにくいオフィスの奧に設置します。

オフィス設計に関する注意点

オフィスの設計に関しては、いくつか気をつけなければならないことがあります。
ここでは、オフィス設 計における注意点について解説します。

関連する法令の遵守

オフィスの設計において注意したいポイントとして、関連する法令の遵守があります。
下記のような法令 と各項目については注意を払う必要があります。

これらの法令を遵守しないまま設計や工事を行った場合、行政指導や罰則の対象となりかねません。
社員 の安全上・健康上のリスクを低減するためにも、法令遵守や安全確保に関しては、専門業者とよく相談し、 問題がないかどうかを確認することをおすすめします。

コストと予算のバランス

オフィスの設計において注意したいポイントに、コストと予算とのバランスがあります。
設計にこだわり すぎてコストをかけすぎると予算オーバーになってしまい、経営を圧迫しかねません。
想定コストが予算 を超えてしまった場合は、専門業者と相談しながら、リニューアル前に使っていたオフィス家具や什器を 再利用したり、使用素材を見直したりすることで最適化しましょう。

また、初期コストだけでなく、オフィスの光熱費やメンテナンスにかかるランニングコストに関しても十 分注意するようにしてください。

セキュリティ面の対策

オフィスを設計する際には、セキュリティ面にも注意しなければなりません。
多くのオフィスにある機密 資料や個人情報データなどが漏洩しないようにするため、適切なゾーニングや入退室管理システム導入な どによって、十分な対策を行いましょう。

セキュリティ対策については設備を増強するだけでなく、情報漏洩リスクに関する社員への教育や運用ル ールの周知徹底も同時に進めたいところです。

専門業者に相談して魅力的なオフィスを設計しよう

生産性向上やコミュニケーションの活性化、社員の帰属意識向上などを実現するため、企業にとってオフ ィスの設計は極めて重要です。
しかし、オフィスの設計については法令の専門知識や豊富な知見を必要と します。
オフィス設計・施工を得意とする専門業者への相談がおすすめです。

オフィスデザイン・オフィス移転の専門業者オフィスコムでは、お客さまの事業内容や理想のオフィスを ヒアリングし、最適な設計をご提案しています。
オフィスの設計について悩みを抱えているならば、ぜひオフィスコムへお気軽にご相談ください。