自社のオフィスが狭いといった悩みをお持ちの方は多くいると思います。
- 従業員が増えてスペースの確保が難しい
- オフィスが狭くて歩きにくい
- 集中できるスペースが取れない
など、様々な理由があるでしょう。
しかし、今よりも広いオフィスを求めて移転しようとしても、莫大なコストや時間を要するため、なかなか乗り出しにくいのではないかと思います。
そうした時は、現在のオフィスレイアウトの変更を検討しましょう。配置を変えるだけで「狭いオフィス」の印象を大きく改善することも可能です。そこで本記事では、狭いオフィスを改善するために、リフォームいらずで取り組める対策と、具体的な事例をご紹介します。
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狭いオフィスの定義とは?
そもそも「狭いオフィス」はどのように定義されるでしょうか。
実は、オフィスの広さは社員それぞれの感じ方によって定義づけが異なります。
同じ人口密度の空間にいても、ある社員は狭いと感じる一方で、違う社員にとっては広いと感じられる可能性もあります。
また従業員数や坪数といった条件も様々ですので、どの程度のスペースが狭いと定量的に言い切ることができないのです。
そこでまず考察したいのが、「人はどれくらいの空間を狭いと感じるのか」という心理学的な基準です。
本章では、快適なオフィス内移動に必要な幅とパーソナルスペースの、2つの観点から見ていきます。
1. 快適なオフィス内移動に必要な幅
狭いオフィスの原因として取り上げられる例の一つとして、オフィス内の移動にストレスがあることです。
オフィスの通路幅が狭いことは、仕事の妨げになってしまい、集中力の低下を引き起こしかねません。
個人差はありますが、快適に通ることのできるオフィスでの通路幅目安は以下のようになります。
距離 | 想定される配置 |
---|---|
120cm以上 | 座席の後ろが壁面の場合 |
140cm以上 | 壁面に収納庫を備え付ける場合 |
90~120cm | デスクを横並びにした場合 |
150~180cm | デスク同士が背を向ける場合 |
-
- メイン通路は、人がスムーズにすれ違える程度の幅を考慮し、1200mm以上の通路幅を取るのが望ましいです。デスクの奥行は通路幅を考慮して選びましょう。
-
- 背中合わせにデスクを配置する場合、両サイドに着座することを考慮し1800mm程の通路幅を確保したいところです。
以上のように十分な通路幅を確保することで、ストレスがかからない環境を作り出すことができ、社員の集中力を妨げることなく労働生産性を向上させることにつながります。
2. 人のパーソナルスペース
パーソナルスペースとは、他人に近付かれると不快に感じる空間のことです。
人の心理的縄張りのようなもので、このスペースに他者が入ってくることで、落ち着きがなくなったり嫌悪感を抱いてしまう社員もいます。つまり、このパーソナルスペースよりも内側に人がいる場合、「狭い」「窮屈」といった感情が芽生えるわけです。
パーソナルスペースには個人差がありますが、相手との適切な距離は以下のようになります。
距離 | 特徴 | |
公衆距離 | 350cm以上 | 1対1のコミュニケーションは取りにくい距離。 ▼ 想定ケース 講演会、演説、スポーツ観戦など |
社会距離 | 120〜350cm | 会社での改まった話をする距離。 ▼ 想定ケース 会議、職場、食事会など |
個体距離 | 45〜75cm | 手を伸ばすと相手に触れることのできる距離。 ▼ 想定ケース 友人との会話など |
密着距離 | 0~45cm | ごく親しい人だけが許されている距離。 ▼ 想定ケース 家族団らんなど |
オフィスで考えてみれば、隣席の社員とは社会距離であるため120cm以上の距離があれば問題ないことになります。
実際にオフィスを広くすることが難しい場合は、これらのスペースを確保することを心掛けてレイアウトを工夫してみましょう。
【 オフィスレイアウトの詳細はこちら 】
オフィスが狭いことで起こるデメリット
ストレスを感じてしまう空間は人それぞれとはいえ、狭いと感じるオフィスに居続けることは、思いもよらぬデメリットに繋がってしまう危険性があります。
日本オフィス家具協会が行った調査「オフィスワーカーから見た、オフィス環境ニーズのトレンド」によると、オフィス環境の良し悪しが仕事の成果に影響がでると回答したワーカーは65%、仕事に対するモチベーションに影響すると回答したワーカーは71%にも及びました。
「オフィスワーカーから見た、オフィス環境ニーズのトレンド」2017年 一般社団法人 日本オフィス家具協会
オフィスにおいて快適さを実現することが、いかに重要であるか伺えます。
実際に、オフィスが狭いことで起こるデメリットには、以下のことが考えられます。
ストレスが溜まりやすくなる
狭いオフィスでのデスクワークは、窮屈なスペースで仕事をすることが余儀なくされてしまいます。そうなると常にパーソナルスペースに他人が入ってくる可能性が出てきてしまうため、心理的にもよくありません。
そして、ストレスの限界を超えてしまうと、心身の調子が崩れ、病気を発症して休職や退職を余儀なくされることもあります。そのような事態に陥る前に、社員のストレスを少しでも減らすことが大切です。
仕事に集中できなくなる
仕事に集中して良い成果を上げるためには、オフィスが「集中できる環境」でなければなりません。
社員が仕事に集中できないオフィスは、会社にとって大きな損失となります。業務効率・生産性の低下はもちろん、社員の体調不良にもつながります。
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- 「誰にも邪魔されず作業に打ち込みたい」という社員ニーズから「集中ブース」の需要が高まっています。「集中ブースがオフィスになくてはならない理由と具体的な3つの作成方法」もご参考にしてください。
社員の移動が減り、交流がなくなる
オフィスの通路が狭いと、オフィス内を移動することが億劫に感じてしまいます。デスクから立ち上がって直接上司や先輩社員の確認をとらなければならない場合など、都度ストレスを感じてしまう人もいるでしょう。
これにより業務の確認作業を怠るようなことになってしまっては、ミスが手遅れになってしまったり、企業にも社員にとっても大きな損失に繋がりかねません。
狭いオフィスを改善することで得られるメリット
オフィスが狭いことにより、前章で述べたようなデメリットを感じている社員がいる場合は、オフィスを改善する必要があると言えるでしょう。
本章ではそのメリットについてご紹介します。
仕事の効率がアップする
オフィスで仕事をすることが苦痛になってしまっては、集中して作業できないため、良い成果は上げられないでしょう。
前述の日本オフィス家具協会による調査「オフィスワーカーから見た、オフィス環境ニーズのトレンド」を、再度見てみたいと思います。
「共感するオフィス像」として最上位を占めた意見は、「社員が健康的(身体的・精神的・社会的)に働けるオフィス」であり、全体の60%に及びました。また、ストレスが仕事の質に影響しているという社員も全体の35%という結果になり、オフィス環境が作業効率に与える影響は決して軽視できません。
そんな中、リラックスしながら仕事に取り組む環境を構築できれば、仕事の作業効率は上がります。社員の仕事に対する取り組みが向上すれば、企業側としても利益が上がることになります。
社員の交流が増える
社員がストレスなく快適にオフィス内を移動できれば、オフィスに活気が生まれます。また傾向として、仕事の質問の回数が増えることが上げられます。
上司や先輩社員に仕事の質問ができる環境を整えることで、仕事の質を向上させることができ、会社としての生産性向上につながります。
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- 社内コミュニケーションを活性化を知りたい方は「社内コミュニケーションを活性化させるオフィス環境とは?ポイントや事例について解説」もあわせてご覧ください。
オフィス移転よりも少ないコストで改善できる
仮にオフィスを移転するとして、かかる費用の内訳としては大きく分けて以下の3つがあります。
- 旧事務所の退去費用
- 新事務所の開設費用
- 引っ越し費用
となります。
内装工事をする場合は多くの費用を要しますが、レイアウト変更によるオフィス改善が、移転よりも大幅に少ないコストで行うことができるのです。
企業のイメージアップにもつながる
日常的にオフィスを利用する社員だけでなく、オフィスを訪れるお客様にとっても、オフィス空間は第一印象に大きな影響を与える場です。
好印象なオフィスデザインは、そのまま、企業のイメージアップにも繋がります。
企業のイメージがアップすれば、業界からの評価を上げることができます。
結果的に、求職者への更なるアプローチや業績アップも臨めるようになるでしょう。
- 関連記事
- 狭いオフィスを改善することで得られるメリットを知りたい方は「小規模オフィスをデザインする際に参考にしたい、2つのポイントとは」もあわせてご覧ください。
狭いオフィスを改善するための4つのポイント
狭いオフィスを改善するメリットがおわかりいただけたと思います。
そこで最後に、実際に狭いオフィスを改善する際の注意点を見ていきましょう。
なぜなら、やみくもに広い空間を作るためにレイアウト変更をしてしまえば、災害時の対応や予算を無視した設計や家具配置になってしまい、本末転倒だからです。
本章では、失敗しないオフィス改善のためのポイントを4つご紹介します。
1. レイアウトを変更することで既存のスペースを広く見せる
仕事をするスペースにおいて、パーソナルスペースを確保すると同時に通路の確保も大切だということは先ほど述べた通りです。
実は、デスクをどの位置に置くかということが非常に大切になってきます。置き方次第で通路の幅を確保できる場合があるので、どのようにデスク配置をすればよいのか、検討してみましょう。
また、狭いオフィスではいかに空間を広くみせられるかがポイントとなってきます。圧迫感を作らないようにパーテーションの変わりに木製キャビネットをうまく使うことで、狭いと感じにくくなります。
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- パーテーションを使ったレイアウト方法については「小規模オフィスで参考にしたい、パーテーションになる木製キャビネット」をご覧ください。
2. 既存のオフィス用品の変更
今使用しているオフィス用品を変更することで「狭い」という悩みを解決できるかもしれません。
必要以上に大きいデスクを使用しているならば、一回り小さいデスクに変更することも考えられます。
また、フリーアドレスデスクとして多くの人と共有して一つのダイニングワークデスクを使うのも効果的です。フリーアドレスは、オフィスに固定席を作らずに自由な席で仕事を行える仕組みのことです。営業などでオフィスには社員全員がいないことはよくあります。実際に出社している社員の分だけ席があればよいので、大幅にスペースを削減することができます。
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- 詳しくは「5分で分かる!ダイニングワークテーブルが選ばれる2つの理由とは?」をご覧ください。
3. 兼用スペースの設置
オフィスにあるいくつかのスペースを兼用することで、大きな空きスペースを確保することができます。
例えば、「会議室」「応接室」を一部屋に絞ることで、余分な部屋を削減する事が可能です。
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- 「応接室と会議室の兼用スペースはどう作る?レイアウトのコツを解説」では兼用スペースを作る際の注意点や、実際の作り方などが紹介してあります。ぜひ、合わせてご覧ください。
4. 災害時の安全性確保
オフィスに影響をもたらす災害には、火災や地震があります。特に地震に間しては家具で対策をとることができます。
地震発生時に懸念されることとして、家具の転倒には気を付けるべきです。
家具の配置については、下記の点を意識し、安心して仕事に集中できる環境にしましょう。
- 背の高い家具や重い家具を、人の近くに配置しない
- 背の高い家具をオフィスの中央や独立で使用しない(壁面への固定設置が望ましい)
- 避難経路をふさぐような配置をしない
- 書庫の上などにモノをおかない
狭いオフィスを改善するための4つの手順
注力すべきポイントが分かった上で、具体的な行動をするための手順を確認していきましょう。
1. 予算を算出する
まずは、会社でオフィスをレイアウト変更するための予算を算出しましょう。
オフィスを広く見せるために必要な費用には、下記のような項目があげられます。
- オフィス家具購入費用
- 不要物のなどの廃棄費用
- パーテーション工事費用
それぞれにどのくらいの金額を割くか、あらかじめ概算しておき、全体での予算を確保しておくと、この後の作業にスムーズに移ることができます。逆に、この点が定まっていないと、改善をする箇所の優先度や範囲が曖昧になり作業が滞る可能性がありますので、注意しましょう。
2. オフィスレイアウトの改善イメージを固める
予算が決まったら、実際に自社のオフィスのどの部分を変更し、どのようなオフィスに改善するかイメージを固めましょう。
まずは、様々な事例に目を通しましょう。そうすることで、より具体的に改善後のオフィスをイメージすることができます。
その際、ビジュアルのインパクトだけでなく、オフィスの効率性や利便性に本当に還元できているのかを見定めるよう注意してください。
この後の章で、狭いオフィスでも広く見せる工夫が施されたオフィスの事例を紹介しますので、参考にしてください。
3. 業者に見積もりをだしてもらう
改善案が具体化されたら、業者に見積もりを依頼すると良いでしょう。改善する箇所によっては、自分たちで完結させることが可能な場合もあるかと思いますが、一度プロの意見を取り入れることで、より作業が明確化します。
想定していた改装が、実は予算オーバーをする可能性があるかもしれない、ということも着手する前に気付くことができます。
オフィスコムでは、オフィスデザインの視点も含めながら、どんな小さなご相談からでも対応します。「予算はこのくらいで、このようなイメージに改善したい」というラフな問い合せでも可能です。ぜひ一度、プロの意見をご活用ください。
4. 改装を開始する(必要であれば業者に依頼する)
最後に、実際の改装作業に着手します。業者に頼んだほうがスムーズであれば、そのままお任せする方が良いでしょう。自分たちで改装をするとなった場合は、以下の手順で進めていきます。
- イメージを基にしてレイアウトを決定する
- 必要なオフィス家具、パーテンションなどを洗いだし、購入する
- オフィスに導入し、必要であれば既存の家具の移動や廃棄を行う
2から3までのステップに時間がかかってしまうと、業務に支障が出てしまう可能性があるので、レイアウト・スケジュールは事前にしっかり決めたうえで着手するようにしましょう。
狭いオフィスを広く演出!目的別の企業事例5選をご紹介
それでは最後に、実際に狭いオフィスを広く演出することに成功した企業事例をご紹介します。
自社で取り入れられそうなアイディアがございましたら、ぜひご参考にしてください。
1. シンプルにまとめあげる
スペースが限られている空間において、不要なものを取り除いて極限までシンプルにまとめた例です。色は、開放感のあるホワイトをベースにし、部分的にブルーをいれることで爽やかさをプラスしました。
余計なものが目に入らないことで、すっきりとした印象を与えます。
2. 家具は一か所にまとめる
オフィス内では物が散らばるほど、エリアや家具の導線が見えず、結果として窮屈に感じてしまいます。極力、家具を一か所にまとめるか壁際に寄せるなどして、何もないスペースを確保しておきましょう。
物を減らすことが困難な場合は、収納力の高いオフィス家具を導入するのも解決策の一つです。
そうすることで、移動スペースが生まれて導線がはっきりするため、快適な空間に生まれ変わるはずです。
3. 低いパーテーションを活用する
ただでさえ狭いオフィス内をパーテーションで完全に区切ってしまうと、それぞれのスペースが限定され、ますます窮屈な印象が強くなってしまいます。
例えば株式会社メディアックスの会議室に使用されている木製キャビネットは、仕切りの役割も果たしつつ、おしゃれで落ち着いた空間デザインの創出にも貢献しており、閉鎖感を与えることがありません。
4. 光の入り方を意識する
どうしても会議スペースを確保する必要があり、目隠しとなるパーテーションを用いる場合はガラスパーテーションを選定すると、光が遮られず開放感のあるオフィス空間を演出することできます。
まとめ|狭いオフィスはレイアウト次第で改善できる
以上、狭いオフィスを快適にするために意識してほしいポイントをご紹介しました。
莫大なコストがかかる移転を検討する前に、レイアウト次第で何とかできないのかをもう一度考え直してみてください。レイアウト次第でオフィス環境はある程度変えることができます。環境が変われば社員の意識は変わります。そして、生産性が上がるきっかけとなるかもしれません。
「オフィスが狭い」をデメリットとせずに、狭いオフィスならではのアイデアを出し合いを行うことで働きやすい環境を作ることも可能です。
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