オフィスの移転やリニューアルにおけるB工事とは、オフィスビルのオーナーが工事業者を選定し、入居するテナントがその工事の費用を負担する工事のことです。
B工事は、移転やリニューアルに伴うそれ以外の工事に比べて、トラブルが起きやすいのが特徴です。各工事区分の違いを認識しながら、スムーズに進められるように注意しなければなりません。
この記事では、B工事とA工事・C工事の区分の違いとB工事で起きやすいトラブルのほか、工事のトラブル回避のための失敗しないポイントについて解説します。
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B工事とA工事・C工事の違い
B工事とA工事・C工事の工事内容は、大まかにいえば下記のようになっています。
《 B工事とA工事・C工事の工事内容 》
- B工事 : 主に専有部分にあるものの、ビル全体に影響がある設備や構造部などに関する工事
- A工事 : ビルの建物自体にかかわる工事で、工事業者の選定、発注や打ち合わせ、費用負担のすべてをオーナーが担う工事
- C工事 : 工事業者の選定から発注、費用負担まで、テナントがすべてを担う工事
B工事とA工事・C工事がオフィス移転などに伴う工事のどれに該当するのかは、オーナーと交わす賃貸借契約書に記載されているのが一般的です。
このうち、B工事だけがオーナーとテナントの双方が関与するため、トラブルが起きやすくなっています。
ここでは、B工事を中心に、A工事・C工事との細かな違いについて解説します。
対象となる工事の違い
B工事とA工事・C工事の違いとして、対象となる工事の違いが挙げられます。
各工事区分の対象となる工事は、下記のとおりです。
■ オフィスビルにおけるB工事とA工事・C工事の工事対象
| B工事 | A工事 | C工事 |
|---|---|---|
|
|
|
B工事は、主にビルの専有部分にあるものの、ビル全体に影響がある設備などが対象です。
ビルの躯体や共用部分にあたるA工事や、明確にテナント内部に該当するC工事に比べ、B工事はオーナーの解釈や認識によって工事対象が変わるなど曖昧なケースがあるため、注意が必要です。
工事業者選定の違い
B工事とA工事・C工事の違いに、工事業者の決定権もあります。
各工事の工事業者の決定権は、下記のようになっています。
■ オフィスビルにおけるB工事とA工事・C工事の工事業者の決定権
| B工事 | A工事 | C工事 |
|---|---|---|
| オーナー | オーナー | テナント |
注意したいのは、B工事の工事業者の決定権が、テナント側ではなくオーナー側にある点です。
オーナーは同じ業者を指名することが多く、そうなると価格競争が起きなくなるため、費用は高額になる傾向があります。
費用負担の違い
費用負担の違いも、B工事とA工事・C工事の違いとして挙げられます。
工事費用の負担については、下記のような分担になっています。
■ オフィスビルにおけるB工事とA工事・C工事の工事費用負担
| B工事 | A工事 | C工事 |
|---|---|---|
| テナント | オーナー | テナント |
B工事は前述のとおり、テナントに工事業者の決定権がないにもかかわらず、工事費用の負担をしなければならない点に注意が必要です。
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B工事で起きやすいトラブル
オフィスの移転やリニューアルの際に、最もトラブルが起きやすいのがB工事です。
ここでは、B工事で起きやすいトラブルについて解説します。
契約外の項目も工事対象になっている
B工事で起きやすいトラブルに、契約書や工事区分表に記載されていない項目も工事対象になっていることが挙げられます。
これは、B工事の対象となる範囲がオフィスビルやオーナーごとに異なるなど、定義が曖昧なことによって生じるトラブルです。
どの工事を誰が負担するのか、契約書や工事区分表に明確に記載する必要があるといえるでしょう。
工事項目の混在によって費用が高額化する
工事項目の混在によりB工事の費用が高額化し、トラブルになることもあります。
オーナーが指定したB工事業者の見積もりに、本来C工事に含まれるべき項目が入ってしまうことがあるのです。
このようなケースではテナント側はオーナーやB工事業者との価格交渉がしづらく、結果的に相場より高いコストを負担することになりかねません。
工期遅延のリスクがある
B工事で起きやすいトラブルとして、工期遅延のリスクがあることも挙げられるでしょう。
オーナー側が選定する工事業者の予定をコントロールできないため、見積もりの取得が遅れたり、それに伴う着工も遅れたりするほか、工程全体の遅れによる追加費用が発生する可能性があります。
B工事で失敗しないためのポイント
B工事に関するトラブルを回避するには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
ここでは、B工事で失敗しないためのポイントについて解説します。
工事区分や工事範囲をオーナーに確認する
B工事で失敗しないためのポイントとして、工事区分や工事範囲をオーナーに確認し、明確にすることが挙げられるでしょう。
オフィスの移転やリニューアルの計画時に、オフィスビルの賃貸借契約書や工事計画の工事区分表をよく確認し、工事のどの範囲を誰が担うのか、費用負担はどうなっているのかなどを漏らさずチェックすることをおすすめします。
入居時と退去時で2回発生することを認識する
オフィス移転に伴うB工事は、新オフィス入居時(内装工事)とオフィス退去時(原状回復工事)の計2回、発生することを認識しておくのも、失敗しないためのポイントです。
2回分の工事費用をきちんと確保しておけば、トラブルのリスクを減らすことができるでしょう。
なお、物件によってはB工事(原状回復工事)が発生しなかったり、B工事区分そのものがなかったりすることもあるので、事前の確認が肝心といえます。
工事開始前にオーナーなどと密なコミュニケーションを取る
B工事で失敗しないためには、工事開始前にオーナーやオーナーが選定した工事業者と、できる限り密なコミュニケーションを取ることも重要なポイントといえます。
オフィス移転の場合、新オフィスの契約時や工事計画段階から、オーナーの意向を聞いたり、こまめに相談したりすることが、B工事のトラブルを回避するためには必要です。
オフィスのC工事(内装工事)の費用目安
オフィス移転を行う場合、一般的なオフィス物件のC工事(内装工事)の費用相場は、1坪あたり10万円以上と考えておきましょう。
なお、これはオフィスの規模や立地のほか、内装、設備などによって費用感は大きく変動します。
《 オフィスのC工事(内装工事)費用の内訳 》
- 仮設工事
- 軽鉄工事
- ボード工事
- 内装仕上げ工事
- パーテーション工事
- 建具工事
- 電気工事
- 通信機器設備工事
- 空調設備工事
- 給排水設備工事
- 消防設備工事
- サイン工事
- 造作家具工事
- 関連記事
- オフィス内装工事の費用目安については、関連記事 「オフィス内装工事の費用相場は?工事の流れとコストを抑える方法」 にて解説しております。あわせてご覧ください。
B工事の費用を抑える方法
B工事の費用を抑えるには、どうすればいいのでしょうか。
ここでは、B工事の費用を抑える方法について解説します。
B工事をC工事に振り分けるよう交渉する
B工事の費用を抑える方法として、B工事をC工事に振り分けるよう交渉することが挙げられます。
具体的にはB工事の見積もりをよく確認した上で、項目としてC工事に振り分けられそうなものをピックアップし、C工事の業者側で再見積もりを取り、それを基にオーナーとB工事業者に交渉します。
ビルによってはオーナーや指定業者の維持管理に対する方針があり、工事区分を定めている場合もあります。
オーナーと良好なコミュニケーションを図りつつ、関係を壊さないように慎重に交渉しましょう。
B工事の金額交渉の専門業者に相談する
専門業者に相談するのも、B工事の費用を抑える方法といえます。
例えば、入居時や原状回復のB工事に関して強みを持つコンサルタントや弁護士などに相談し、工事区分表を作成してもらったり、オーナーに金額交渉を行ってもらったりすることで、費用を抑えられる可能性があります。
一度トラブルが発生し裁判になると、上乗せして裁判に関する費用がかかるおそれがあります。
大きなトラブルになる前に、専門業者の手を借りるのも一つの手です。
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オフィス移転のB工事には専門業者に相談しよう
オフィス移転やオフィスリニューアルに伴う工事を行う際は、どの工事区分に該当するのか、賃貸借契約書や工事区分表をよく確認し、オーナーと密なコミュニケーションを図りながら進めたいところです。
B工事に関しては、トラブルの原因になることが多いため、専門業者によく相談しながら進めるのがおすすめです。
B工事とC工事が混在した工事の管理に関して、多くのノウハウを持つ専門業者なら、安心して進められるでしょう。
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