快適なトイレで働きやすいオフィスへ|設計の注意点とデザイン事例4選

   

快適なトイレで働きやすいオフィスへ|設計の注意点とデザイン事例4選

オフィス空間では、あまり重要視されることが少ない「トイレ・洗面化粧室」。
生理現象のほかに、息抜きに利用したり、身だしなみを整えたりと日常で必ず使うスペースです。

オフィスづくりを考える際、注力されない空間になるかと思いますが、TOTO株式会社が行った調査によると、オフィスのトイレ空間は、社員のモチベーションに深く関与していることが判明しました。

毎日使用するトイレだからこそ「快適で使いやすいトイレとはどういったものか」を軸にオフィスのトイレをつくる際に必要な考え方、注意すべき点、事例を含めて詳しくご紹介していきます。

トイレの快適さは従業員のモチベーションに影響する

トイレ・水まわりの快適さは従業員のモチベーションに大きく影響します。

TOTO株式会社が行った「オフィス水まわり意識調査」によると「業務を行う執務スペース以外でこの場所の快適性が仕事のモチベーションに影響すると思う場所は?」という質問に対し「トイレ・化粧室」と答えた従業員は全体の66%にのぼり、2位の「食堂・休憩室」を大きく上回る結果となりました。

「オフィス水まわり意識調査」TOTO株式会社

「業務を行う執務スペース以外でこの場所の快適性が仕事のモチベーションに影響すると思う場所は?」
「オフィス水まわり意識調査」TOTO株式会社

この結果からも、トイレの快適性がオフィスの重要な要素として考えている社員が多いことがわかります。
例えば、仕事の合間に立ち上がって、トイレに行く行為で自然と気持ちがリフレッシュしていたりしないでしょうか。このようにトイレには、生理現象以外にも集中力の切り替えを促す効果があります。

また、トイレはプライベートな配慮が必要でもあり、快適性が求められる空間でもあります。
清潔感はもちろん、機能性、デザイン性にもこだわり、快適なトイレ空間を作ることが大切だといえます。

オフィスのトイレ空間を作る前に確認しておくべき6つのポイント

オフィスのトイレ空間を作る前に最低限必要なことは何でしょうか。
確認しておくべき6ポイントをご紹介します。

  • 最低限必要なトイレの数
  • 確保したいトイレ個室のサイズ
  • トイレの種類や機能
  • 電源の確認
  • 洗面・手洗いスペース
  • 障害者用の対応

1. 最低限必要なトイレの数

まずは、トイレの個室の数です。
オフィスに最低限必要なトイレ数は、法律によって定められています。

第十七条  事業者は、次に定めるところにより便所を設けなければならない。

  • 一 :男性用と女性用に区別すること。
  • 二 :男性用大便所の便房の数は、同時に就業する男性労働者六十人以内ごとに一個以上とすること。
  • 三 :男性用小便所の箇所数は、同時に就業する男性労働者三十人以内ごとに一個以上とすること。
  • 四 :女性用便所の便房の数は、同時に就業する女性労働者二十人以内ごとに一個以上とすること。
※参考:労働安全衛生法|事務所衛生基準規則

トイレを設計する際は、上記の規約を守る必要があります。
ただし、これらはあくまでも法律で定められた最低限のラインであり、実際にはもっと多くのトイレの数が必要となる場合も考えられます。当然ながらトイレの待ち時間が増えれば、それだけで作業の妨げになり業務に影響が出る場合があります。
社員数、男女比、来客者数、多目的トイレの設置など様々な視点から総合的に考える必要があります。

2. 確保したいトイレ個室のサイズ

確保したいトイレ個室のサイズ

快適なトイレを作るために、個室には必要なサイズがあります。
一般的に、横幅は70~80㎝、便器の横幅が約40㎝、そして左右に15㎝ほどメンテナンスを行うスペースを設ける必要があります。

奥行きに必要な長さは便器の形状によっても変わります。便座の先から正面の壁、扉までの距離は40㎝以上必要です。したがってトイレ個室のサイズは横70~80㎝、奥行便座(約80㎝)+ 45~50㎝必要です。

3. トイレの種類や機能

最近の洋式便器は大きく2種類あります。
タンクレスタイプとタンクタイプです。

① タンクレスタイプ

デザインがシンプルで、オプションが多くついている便器です。
温水洗浄便座、防汚コート、自動洗浄、脱臭など、メーカーや機種によりますが、清潔を保ちやすく清掃のしやすさが特長のため、多人数が使うオフィスのトイレにはタンクレスをお勧めします。

② タンクタイプ

背中にタンクがついた便器で、温水洗浄便座の取り付けも可能です。
タンクレスに比べて、オプション性が劣りますが設置面積が少なく安値です。

タンクレスタイプ
タンクレスタイプ:デザインもシンプルでオプション性や清掃性に優れています。
タンクタイプ
タンクタイプ:オプション性が少ないですが、設置面積が少なく安価です。

洋式便器を選ぶ際に、特に注視してほしいのが、水たまり面と防汚コートです。
水たまり面が多いタイプは、便器への汚物付着を防ぎ、臭気の発散を防ぐ効果があります。また、防汚コートが施されていると、水たまり面以外も汚れがつきにくく、清潔で快適なトイレ空間を保てる要因の一つとなります。

機能性便器は実際に身体に触れて使用しますので、カタログから選ぶのではなく、TOTO、LIXIL、Panasonicなどのショールームで実際にご覧頂くことをおすすめします。

4. 電源の確認

温水式便座やトイレ用擬音装置などを取り付ける際など、電源が必要となります。
電源が無い場合は、電気配線を追加する電気工事を行う必要があります。その際は、水回りとなりますので漏電を防止するために必ずアース端子付きのコンセントを設置します。

5. 洗面・手洗いスペース

トイレだけでなく、洗面・手洗いスペースをどれくらい設けるかも重要です。
女性にとっては、化粧を整えたり、身だしなみをチェックしたりと、モチベーションへの影響に密接しています。

使い勝手や、デザイン性など、多人数が使用するオフィスのトイレだからこそ、快適に使用できるように考える必要があります。

6. 障害者用の対応

トイレは、パブリックな場となるので場合によっては、健常者だけでなく障害者の方も支障なく利用できるようにする配慮が必要となります。

例えば、車椅子の方がトイレを利用する場合は「2. 確保したいトイレ個室のサイズ」でご紹介した個室サイズでは車椅子が入りませんし、トイレブースの扉も横引きのスライドドアにする、手すりを設けるなどの配慮が必要となります。

快適なトイレ空間を実現するために必要な6つのポイント

快適なトイレ空間を作るために必要な6つのポイントがあります。
空間の考え方や使い勝手など、取り入れたいポイントをご紹介します。

  • 清潔感のあるトイレ空間を考える
  • 掃除がしやすい内装材を選ぶ
  • 女性視点を取り入れた空間を考える
  • プライバシーに配慮した空間を考える
  • リフレッシュできる空間を考える
  • 便座の快適性に配慮する

1. 清潔感のあるトイレ空間を考える

快適なトイレ空間に、一番に求められるものは「清潔感」です。
特に、オフィスのトイレは、多人数が使用することもあり、清掃性や機能面を高める必要があります。

デザイン的な部分で考えると、清潔化と直結する、白を基調に空間をデザインする、木目調のデザインを取り入れて、ナチュラルな空間を演出するなど、清潔感のある設計にはさまざまな方法があります。
また、珪藻土などを含んだ消臭性がある機能性クロスを使用して匂いを抑えるなど、機能に優れた内装材を使うことも清潔感に繋がります。

2. 掃除がしやすい内装材を選ぶ

清潔なトイレを実現させるポイントとしては、床面が大切な要素です。
トイレは壁面よりも、床面の方が汚れやすいため、撥水効果や清掃のしやすさを特長にもつ長尺シートや大判タイルなどの床材を利用し、清潔を保てるようにすることが大切です。

長尺シート
長尺シートは、継ぎ目の境が殆ど無く、耐水性もあり、清掃もしやすいため、トイレなどの水回りによく使用されます。
大判タイル
大判タイルは、耐久性、耐水性があり、質感と大きさから高級感を出すことができ、空間に締りをあたえます。

3. 女性視点を取り入れた空間を考える

女性にとっての洗面・手洗い場は化粧直しや身だしなみを整える場所でもあることから、清潔感はもちろんのこと、使用感やデザインがモチベーションとして直結する場所です。

そのため女性社員の満足度を高めるには、設計にも女性視点を取り入れましょう。
鏡の設置をはじめとして、カウンターを広くすることで、化粧などの小物類を広げやすく使い勝手も向上します。

また、洗面・手洗い場は、デザインの自由度が高く、カウンター、洗面がパッケージとなっているタイプを利用する方法や、カウンター、洗面ボール、水栓、ミラーと一つずつ選定し、オリジナルデザインしていく方法など、デザインの自由度が広いのが特徴です。

女性視点を取り入れた洗面デザイン

こだわりの洗面、手洗い場を作るのであれば、オリジナルデザインをしていく方法をおすすすめします。
カウンターは、人工大理石、クォーツ、陶器、木などがあり、洗面ボールも陶器、磁器、ガラスなど多様な素材やデザインがあります。
水栓もデザインが沢山あり、組み合わせ方法により、多様な洗面・手洗い場をデザインすることが可能です。

洗面デザイン
洗面、手洗い場はカウンター、洗面ボール、水栓などの組み合わせで様々なデザインが可能です。
女性目線を取り入れる
女性にとっては、化粧直しや身だしなみを整える場なので、鏡なども女性目線を取り入れることが大切です。

トイレのアクセサリーも押さえましょう。

トイレのデザインを考える際に、押さえておきたいトイレのアクセサリー。
ペーパーホルダーや、タオル掛け、ディスペンサーなど、素材やデザインなど、沢山の種類があります。トイレ空間全体のデザインに合わせて選定しましょう。

ペーパーホルダー
ペーパーホルダー:デザイン性、機能性など豊富に種類があります。用途にあわせて選定しましょう。
タオルリング
タオルリング:デザイン性、使い勝手を考えて選定しましょう。

4. プライバシーに配慮した空間を考える

女性トイレの場合は個室仕様ですが、男性トイレの場合は必ずしもそうではありません。
例えば男性トイレの入口から用を足す便器が丸見えだとどうでしょうか?いくらトイレ自体が清潔であっても、これではプライバシーが守られません。

また、プライバシーの観点から消音対策も考える必要があります。トイレは皆で利用するものではありますが、用を足すというプライベートな要素を含む場所だからこそ、これらの配慮ができているか否かで、満足度は大きく変わります。

トイレの設置の際に扉の位置を工夫することなどにより、男性トイレの入口から中を見えないようにしたり、流水音が流れるトイレ用擬音装置の設置などでこれらを解消することができます。リニューアルの際には意識したいポイントです。

5. リフレッシュできる空間を考える

気持ちをリフレッシュさせるトイレを作るためには明るさも考慮する必要があります。
個室空間は、照度を少し落とすことで落ち着く空間を作ることができます。
天井埋め込み型のダウンライトや、壁面などに間接的に照明をあてるなどで、照明の光を和らげると効果的な明るさが得られます。

洗面・手洗い場は、女性の化粧直しや、身だしなみを整える場でもあるため、照明を明るめにすると良いでしょう。 ブランケット、スポットライトなどで明るさを調整できるようにすると使い勝手が向上します。

6. 便座の快適性に配慮する

快適なトイレ空間を作るためには、便座の快適性への配慮も大切です。

TOTO株式会社が行った「オフィス水まわり意識調査」の「体調不良の時、大便器ブースに欲しい設備は?」で男性・女性、共に39%の人が「温水洗浄便座」と回答されており、多人数が使用するオフィスのトイレにこそ必要性がある結果が見て取れます。

「オフィス水まわり意識調査」TOTO株式会社

オフィス水まわり意識調査」TOTO株式会社より

快適なトイレ空間を作るためには、便座の快適性を高めるのは必要です。
温水洗浄便座は、既存の便器に取付するタイプ。便器と一体になったタイプがあります。

温水洗浄便座組み合わせ型
便器と組み合わせるタイプは、既存の便器を流用して取付することができます。
温水洗浄便座一体型
便器と一体型は、すっきりとしたデザインが特徴的です。

快適なトイレ空間をつくるために、とりいれたいおしゃれなトイレ事例4選

1. 清潔感、落ち着いた空間のトイレ

トイレブースのパネルと床面の長尺シートの色を同系色にまとめ全体的に落ち着いた優しい空間に仕上げました。壁面は、腰下に床と類似した色味のクロス。腰上には清潔感のある白のクロスと張り分けを行うことで、落ち着いた空間に深みをだしています。

便器はタンクタイプで温水便座つき、洗面はパッケージタイプの自動水洗タイプと機能性を確保しながらコストを抑えています。

2. パブリックに配慮したトイレ空間

健常者や障害者共用として使用可能な多目的トイレ。
来客されるお客様が、老若男女問わないため、車椅子などでの使用も考慮し、手すりや広さの確保、スライドドアなど、誰でも安全に使用することができるように配慮しています。

3. 女性視点を取り入れたトイレ空間

シックな内装とデザインされた洗面が印象的。
特に洗面は、マーブル模様が美しいカウンターと、エレガントさを感じるガラスの洗面ボール、主張しすぎない水栓とあわせ、カウンターは広がりがあるため、身だしなみを整える際に必要な化粧品を広げやすくなっています。女性目線からトイレに必要な要望を取り入れ、女性社員のモチベーション向上に繋がっています。

4. 高級感を取り入れたトイレ空間

大判タイル、造作カウンター、間接照明、大きなミラーがホテルの様な上質でラグジュアリーな空間をつくりました。
間接照明で少し薄暗くすることで、心理的作用としてリラックスを促す効果があるため、仕事の緊張感から開放してくれる空間となっています。大判タイルは、耐久性、撥水性、清掃のしやすさの面からみても優れており、デザインも豊富な種類があるため、トイレや洗面などの水周りに最適です。

まとめ|多角的な視点を取り入れて、オフィスのトイレを快適に

オフィスのトイレは、家庭のトイレと使用目的が少し異なり、生理現象以外にも集中力の切り替えやリフレッシュを促す効果があり、トイレの快適性が従業員のモチベーションに繋がっています

快適なトイレを作るためには、清潔感、機能性、デザインの他に女性目線など多角的な視点を取り入れることが大切です。快適なトイレ空間をつくることができれば、モチベーション向上にも繋がり、生産性の向上になども期待がもてます。

また、トイレの内装はオフィスの中では一番こだわったり、遊べる領域でもあります。個性的なデザイン、大胆なデザインを取り入れることで、気分転換を促すなどの効果があります。

ご紹介した、オフィスのトイレ環境に必要な要素を考えて、快適なトイレ空間をつくってみてはいかがでしょうか。

 

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