コラム

オフィスの内装制限とは?対象と制限内容、緩和策について解説

作成者: オフィスコム|Jun 4, 2026 4:06:31 AM

オフィスの内装をつくる場合、火災時に備えるための制限が設けられています。内装制限は法律にもとづいており、使用する材料などを守らなければ罰則を受ける可能性があるため、注意が必要です。

この記事では、オフィスの内装制限の対象と制限内容のほか、その緩和策について解説します。

オフィスの内装制限とは?

オフィスの内装制限とはどのような目的があり、違反するとどういったペナルティがあるのでしょうか。ここでは、オフィスの内装制限の目的と罰則について解説します。

オフィスの内装制限の目的

オフィスの内装制限は、火災時にオフィスにいる人の安全性確保を目的としています。もし、火災が起きたときにオフィスの内装が燃えにくい材料でできていれば、爆発的な延焼(フラッシュオーバー)を抑えられ、それに伴ってオフィスで働く社員は、安全に避難できるでしょう。

そのため、オフィスの居室や避難経路の壁・天井に使用する素材について、「建築基準法」と「消防法」といった法律で厳しく制限しているのです。ちなみに、燃えにくい「防火材料」とは、国土交通省が建築基準法施行令第108条の2で定める、下記の要件を満たすものを指します。

防火材料は3種類に大別でき、それぞれの特徴は次のとおりです。

オフィスの内装制限に関する法律

内装制限は、建築基準法第35条の2「特殊建築物等の内装」において、下記のように定められています。

消防法に関しては下記の第8条で目的が示されており、それを基にした消防法施行規則で具体的に定められています。

消防法と建築基準法の内装制限は、対象となる範囲や条件が異なります。
また、自治体の条例などによっても変わるため、詳細は専門業者に確認するのが安心といえるでしょう。

オフィスの内装制限に対する罰則

法律で定められたオフィスの内装制限を遵守しない場合、罰則を科せられる可能性があります。
建築基準法における罰則は、下記のとおりです。

一方で消防法では、下記のような罰則を科せられます。

オフィスを管理し、社員を雇用する法人にとって、内装制限違反は大きな損失を出す可能性があるだけでなく、社会的信用をも失いかねない行為です。
オフィスの移転に伴う内装工事やリニューアルの場合には、必ず内装制限を遵守するようにしてください。

オフィスの内装制限の主な対象と制限内容

内装制限は、すべてのオフィスが対象となるわけではありません。
また、オフィスによって制限される内容も異なります。
ここでは、オフィスの内装制限の主な対象と制限内容について解説します。

大規模建築物

大規模建築物にあるオフィスは、内装制限の対象となります。
次の条件に該当する大規模建築物では、内装制限を受けることになるので注意が必要です。

火気使用室

コンロなどの火を使用する給湯室や浴室を指す「火気使用室」があるオフィスは、内装制限の対象です。火気使用室は、天井と壁に準不燃材料以上の素材を使用する必要があるので注意しましょう。

なお、オフィスの火気使用室でも壁や柱、床などの主要構造部が耐火被覆を施した「耐火構造」になっている場合、内装制限は適用されません。
また、IHコンロの場合も対象外です。

無窓居室

オフィスにおける内装制限の対象として「無窓居室(むそうきょしつ)」が挙げられます。
無窓居室は、単に「窓がない部屋」ではなく、建築基準法で規定されている採光・換気・排煙・避難の各基準を満たさない居室のことです。
具体的には、下記の条件に該当する無窓居室が内装制限を受けます。

無窓居室の内装は、居室の天井や壁に関して、準不燃材料以上の素材を使用しなければなりません。

特殊建築物の内装制限とは?

特殊建築物とは、不特定多数の人が利用する病院や学校のほか、宿泊施設、百貨店などのことです。
これらの建物は「火災の危険性が高い」として、厳しい内装制限が設けられています。

なお、一般的なオフィスビルは特殊建築物に該当しません。
ただし、飲食店や店舗などが入居しているオフィスビルは、その部分だけが特殊建築物として扱われることになります。

オフィスの内装制限緩和策

オフィスの内装には建築基準法による厳しい制限が設けられているものの、一定条件を満たせば緩和される可能性があります。
自治体などによって異なるものの、ここでは、一般的なオフィスの内装制限の緩和策について解説します。

無窓居室の場合は天井高を確保する

オフィスビルの設計・建設段階における内装制限の緩和策としては、無窓居室の天井高を高く、具体的には6m以上にすることが挙げられます。
天井を高くすることで、火災の際に煙が居室内に充満するまでに時間がかかり、安全な避難に役立つのが理由です。

例えばデザイン上、小さな窓しか確保できない執務スペースの場合、天井高を6m以上確保すれば、内装制限の緩和対象となる可能性があります。
ただし、天井を6m以上確保できるオフィスビルの居室は、かなり限られる点に注意してください。

自動式スプリンクラーなどの設備を設置する

オフィスの内装制限に関して、自動式スプリンクラーなどの設備を設置するのも、緩和策の一例です。
具体的には、自動式スプリンクラー設備の水を散布する消火設備を備え付けることで、壁や天井の不燃材料使用が緩和される可能性があります。

なお、これらの設備は基本的に排煙設備も設置することが条件になるので、注意してください。

柱・梁などの表面積を壁・天井面積の10分の1にする

新たに建てるオフィスビルを木造化する際、木の柱・梁や照明設備のカバー(不燃材料でないもの)の表面積を、壁や天井の面積の10分の1以内に抑えることも、建築基準法における内装制限の緩和策のひとつです。

また、装飾目的で壁や天井に設置した小規模の角材も、内装制限の緩和対象となります。

3,000 平方メートル超の木造オフィスの内装制限緩和

2025年に施行された改正建築基準法により、延べ床面積が3,000平方メートル超の中大規模建築物を木造化促進に伴って、内装制限が緩和されることになりました。
それまでは壁や柱を耐火構造とし、3,000平方メートルごとの耐火構造帯による区画が必要とされていました。

建築基準法改正後は、柱や梁などの構造材が見える状態で仕上げる「現し(あらわし)」を採用した設計が可能になる構造方法が導入されています。
具体的には、通常より太い大断面材を使用した「燃えしろ設計」や防火区画の強化などが条件です。

2050年の脱炭素社会実現に向け、政府が後押しする木造オフィスに関心がある場合は、知見のある専門業者に相談することをおすすめします。

オフィスの内装工事に関する注意点

オフィスの内装制限に関しては、いくつか気をつけるべきポイントがあります。
最後に、オフィスの内装制限に関する注意点について解説します。

オフィスビル独自のルールに注意する

オフィスの内装工事に関する注意点として、法律で定められている内装制限以外に設けられた、オフィスビル独自のルールをきちんと確認することが挙げられます。
オフィスビルによっては、工事可能な時間や搬入・搬出経路など、厳しい制限があるので注意しましょう。

また、工事を行えるのがオフィスビル側が指定する業者に限定されている場合もあります。
内装工事前に、事前の確認が求められます。

居抜き物件でも法規チェックが必要

オフィスの内装に関しては、前テナントが使用していた内装をそのまま使用する「居抜き物件」でも注意してください。
前テナントが使用していても、必ずしも最新の建築基準法や消防法を遵守していたとは限らないからです。

居抜き物件を使用する場合には、内装制限に関する法律に適合しているかどうかのチェックが必要です。
専門業者に相談し、適切に対応してもらいましょう。

オフィスの内装制限に関する相談は専門業者へ

オフィスの内装制限は、火災時における社員の安全な避難経路確保などのために極めて重要なものです。
内装制限に違反すると、企業として重い罰則を受ける可能性があるため、緩和策も確認しながら、確実に対策したいところです。

オフィスの内装工事の際に、木造化も視野に入れつつ、内装制限を踏まえたサポートを受けたいなら、実績ある専門業者に相談するのがおすすめです。

オフィスコムでは、年間施工実績3,000件の確かな実績とプランニング力で、オフィス物件選定からオフィスの内装工事まで、トータルコンサルティングを提供しています。
オフィスの内装制限に関する疑問やお悩みは、どんなことでもお気軽にご相談ください。